▽予想通りで期待外れだ
「雛子さんの馬鹿! 俺すっげー恥ずかしかったじゃないッスか!」
「えっ、なにあんたいつまであれ付けてたの?」
全員が集まった頃合いだろうといつもの教室に行ったら、メイク落としを握り締めた二口が待ってましたとばかりに突っ込んできた。
どうやら青城、音駒、烏野の順で寮を回ったらしく。青城の寮長も音駒の寮長も面白そうな事にはとことん悪乗りするタイプなので、何も言ってくれなかったらしく。
最後の烏野でようやく頬のキスマークを指摘され、潔子にメイク落としを貰ったらしい。
「なにそれウケる」
「ウケませんよ!」
「ごめんて。いいじゃんすぐとれたんだしさ〜」
「城中走り回ったんっすよ」
「ブフッ」
「ちょっと!」
「青根〜、二口抑えといてうるさいから。そんじゃあ他のみんなはそれぞれ答案見せて貰いましょうか」
文句の尽きない二口を強制的に黙らせてから、それぞれの寮から答案を見せて貰ったところ。
「……とりあえず、赤点は居ないか」
目下最大の問題だった交流試合のための夏休みの居残りは、何とかなりそうだった。
が。
「……私は何人に悪戯リップを塗りたくればいいわけ?」
赤くなったり青くなったりするお馬鹿な後輩達を前に、どれもこれも設定した合格点を通過しない答案を放り投げた。
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