▽自業自得って言うんだよ 
 


ジトッと木兎を睨み付ける郵便梟にたじろいで。
開けなきゃ駄目かな、ボヤいたが。

「開けた方が良いぜ。開けねえ方がやべー事になるから」
「最悪爆発するわよ」
「まっ、マジか」
「手紙も相手の怒りもね」

昔、発端は黒尾だったが、嫌がる研磨を引き連れて天体観測だ、なんて言いながらうちの小さな天文台にこっそり立てこもった事がある。

それぞれの両親になにも言わずに子供達だけでそんな事をしたものだから、当然大捜索になった挙げ句、黒尾の父から彼宛の吼えメールが届いた。
研磨は開けた方が良いよ帰ろうよと言ったけど、当の彼はポーイと放り投げて。

結果、翌朝吼えメールが噴火のように勝手に開いて怒鳴り始め、それにビビってぎゃあぎゃあ騒いでいたら探しに来た大人に見つかり更に怒られて。言い出しっぺの黒尾は三日間屋内謹慎と家事手伝いを食らって、私と研磨は弧爪家のだだっ広い庭園の庭小人の駆除を言い渡された。

研磨が初めて、「二度とクロと雛子の口車には乗らない」とハッキリ苦言を呈した出来事でもある。

さて、話が脱線したが、今の問題は目の前、木兎の手の中にある赤い封筒だ。

ぺり、と恐る恐る封を破る木兎に、黒尾と二人で二、三歩下がると。
ぺりぺりぺり、とひとりでに開いていき。

「……木兎さん。あんた一体どこに行ってんですか? ご存知かと思いますけど、あんたがいないとこっちは出発出来ないんです。キャプテンがフラフラほっつき歩くの止めて下さい。とりあえず今はどこにどう行ってようと構わないんでとっとと戻って下さい、すぐに」

最後にベチンッ、と木兎の顔面に体当たりをした吼えメールは、独りでに小さく破れていった。

「……赤葦か、今の」
「お、おう」
「? あかあし? 誰?」
「うちの副将」
「へえ。なんというか……静かな威圧に満ちた吼えメールだったね」

吼えメールの新しい怖さを教えられた気分だ。特に知りたくもなかったが。

やけに清々しく説得力の無い顔で、「あいつ怖いから帰るわ! またな!」と木兎はワシミミズクに姿を変えて飛び去ったのだった。


 
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