▽いわゆる本分ってやつ
あれから数日、最終的に現チームメイト達でのミーティングの結果、我が伊達工寮のクイディッチチームのゴールキーパーは作並が務めることとなった。
そうして一月後には、今年のクイディッチシーズン解禁試合が行われる。あみだくじというなんとも原始的な方法で組まれた初戦のカードは、烏野と青城だった。
「日向が岩泉と競うのかあ……大丈夫なの? 主にメンタルとか」
天文学の授業の後、天文台からゆるゆると降りていきながら純粋に浮かんだ疑問を菅原に投げかけた。
「うん……それは俺らもちょっと心配。でも多分山本でも鎌先でもビビるだろうから、そう思うとまだ岩泉でよかったって感じかな」
そう言って苦笑した菅原は今日も爽やかだ。心が浄化される。
しかし、菅原の言うことはもっともだ。
烏野以外のシーカー達は全員小心者をビビらせやすい。が、岩泉だけはなんとかアフターケアまで気が回る。残りの二人には期待できない。
「まあ、私直接見には行けないけど頑張ってね」
「おう、サンキュ。……まあ、今は正直それ所でもないような気がするんだけどな」
「……あぁー……うん、頑張れ」
顔を見合わせて、お互いそっと逸らした。
そんな私達に、通りかかったゴースト達が訝しげな視線を浴びせていったり、察したらしいようなゴーストはクスクスと忍び笑いで通り過ぎた。
そう、魔法界と言えども私達は学生身分。
その私達が絶対に逃げることが出来ない事。
クイディッチシーズン解禁よりなにより、定期試験が、二週間後に迫っていた。
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