▽内緒の話。 
 


とりあえず、驚いて呆然としたリエーフには、私と黒尾がアニメーガスである事は誰にも言わず、黙って置くようにと言い渡した。

リエーフは家系による特異体質で、生まれつきのアニメーガスだ。だから、それが判明した時に家族によって魔法省で登録されているはず。よくよく思い出してみると、図書館のアニメーガスの資料でその名前を見た記憶がある。

が、私達は高校入学前の春休み、大人の目の届かない場所でこっそり学び、こっそりアニメーガスを習得した為、未登録だ。実は研磨にすら話していない。
なのであちこちで喋られたりでもすると、少々都合が悪い。

「フーン。めんどくさいんスね」
「まあね。だからまあ……いずれ機会があればねえ、あんたのお願いを聞いてやらなくもないけど」
「次の満月ッスね!」
「おいお前次の満月まで暴走するつもりか? 俺が面倒見なきゃなんねえだろふざけんな」

ガシガシと寝癖頭をかきむしった黒尾が、座り直したばかりだというのにすっくと立ち上がって。

「そんじゃ、俺戻るわ。次魔法薬だから一回寮に戻んねえとだし」
「ハイハーイ了解」
「陸奥」
「ん?」
「次はねえぞ」
「……はいはい」

さっきまで二人でしていた話の事だろう。
鋭い眼差しに肩を竦めながら返事をした。全く、優しい奴だ。

当然意味がわからないだろうリエーフが変なの、なんて言って首を傾げたところで鐘が鳴った。
ヤバい、これ次の予鈴じゃん。

「やっべ私次薬草学だった! ビニールハウス! じゃあねリエーフ、また今度!」
「えーっもう!?」
「あんたも次遅れないようにしな!」
「雛子さんまた今度、絶対約束守って下さいよォーッ!」
「ハイハイ今度ねーっ!」

伊達工の寮は南塔の最上階。
ビニールハウスは外、城の東側。
今私が居た中庭は、城の西側。

……これ、間に合うかな?


 
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