▽最後の最後でやりやがったな 
 


大騒ぎの翌朝。私は机の上を見てとても大切な事を思い出した……というか、意図的に忘れていたことを嫌でも思い出さなければならなかった。

「あ゙ー……宿題やらなきゃ……」

魔法史と薬草学のレポートである。
魔法史はゴブリンのなんたらについて羊皮紙1巻、薬草学は確かこないだの実習についてのレポートを50センチ……。

それぞれの教科書と羊皮紙、インクと羽根ペンを引っ付かんで食堂に向かった。
朝食を食べたらそのまま図書室に行って、今日一日は籠もりきりの予定を立てた。

そうして食堂でフレンチトーストとベーコンを胃に押し込んで、図書室への向かう。
先日、ブラッジャーが吹っ飛んできた為に余り近寄りたくはなかったが、近道の為に中庭の廊下を通りかかる、と。

「黙れ! マグル生まれの癖に! お前みたいな奴がうちの寮に居ること事態間違いなんだよ!」

数人の男子がどうやら揉めているようだった。
顔はわからない。が、全員ブルーとホワイトのベストを着用していることと、会話の内容からするにどうみても青城生だ。
たまに……というか、青城には一年に何人かこういう純血主義が居る。

面倒臭いなあと思いつつも、見かけたからには無視できないので。

「そこの青城生! 喧嘩騒ぎは御法度よ、学年と名前を……」
「うるせえな、お前ら」
「! あんた……」

先程突き飛ばされたらしい生徒がゆらりと立ち上がった。

「お前らが純血で俺がマグルなのは確かだけど、一つでも俺より優れたとこないし。そう言うの、負け犬の遠吠えって言うんだって、知ってた?」
「……っ国見! 静かにして! あんたたちも名前は?」

逃げようとした三人をひっつかまえて、上手いこと通りかかってくれた岩泉に全てを任せて私は図書室に行った。

が、私の「GW中を平穏に過ごす」という些細な目標は粉々に砕け散ってしまった。


 
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