おうちデートパターン1 
 


ラグにうつ伏せで寝そべり雑誌を捲る天野と、その臀部を枕に仰向けに寝転びゲームをする宮地。
今日は宮地のバスケの練習は休み、天野のバイトも休み希望が通り、晴れておうちデートをしている二人である。ちなみに宮地の部屋だ。

「宮地ー」
「あー?」
「そろそろお尻重いんですけど。右側だけ筋肉痛になる」
「軟弱なケツだな」
「私別に鍛えてないんだけど」
「背中に乗せてたらお前苦しいっつったじゃん」
「だから頭重いんだってば。クッション使えよ」
「だるいわ。取って」
「だからどけよ」

言いながらも二人の視線は噛み合うことはなく、天野はページを捲り、宮地は丸ボタンを連打している。

恋人特有の甘い雰囲気はこれっぽっちも流れていないが、倦怠期特有のギスギス感もない。ただただ緩い時間が漂っている。

「アッ」
「ん?」
「連打し過ぎて次なにやればいいかわかんなくなった」
「えー、今どこよ」
「なんか三章始まったところ」

腹筋の力だけで悠々と起き上がった宮地と、よっこらせと自分の体を持ち上げた天野が並んでゲーム画面を覗き込む。
古いゲームのリメイクだからなぁとボヤいた天野に、宮地が全く不便な作りしてやがると舌打ちした。そもそも宮地が読み飛ばしたのが悪かったのだが。

「誰やってんの?」
「なんか青いやつ」
「ああ、それなら外に出たら多分勝手にイベント始まるから、今度はちゃんと読んでね」
「おう」

それからまた天野は寝そべって、雑誌に目を通す。
宮地もまた黙々とゲームをやり始め、室内には呼吸音、それと、宮地がゲームのボタンを押す音、天野が雑誌を捲る音が響く。

それから、約1時間後の事だった。

「あ」
「ん?」
「やばい」
「どした」
「夏純」
「ん?」
「オムライス食いてえ」
「は?」

唐突過ぎる言葉に、流石に天野も起き上がって振り向いた。
すると、宮地が天野に向けたゲーム画面には、ヒロインの女子と攻略キャラクターの男子が、仲睦まじくオムライスを頬張るCG(スチル)が表示されていて。

「こいつらの所為ですげえオムライス食いたくなった」
「……で?」
「昼飯まだだし今家誰も居ないから作って」
「……材料は? 鶏肉とかあんの?」
「最悪ケチャップライスを卵で包んだだけでもいい」
「どんだけ誘惑されたんだよ……」

仕方ないなあ、とボヤいて、開きっぱなしのアイドル雑誌を閉じ、急かす宮地に手を引かれ立ち上がった。


 
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