彼女について。 
 


「あ、そうだわ。大坪、これやる」
「ん? なんだ?」
「本屋で配ってるランダムのブロマイド。マミリン出た」

ピンク色の可愛らしい封筒を差し出しながら言った宮地の台詞に、大坪の顔がほんの少し輝いた。

宮地程熱狂的ではないにしろ、大坪にも推しメンと呼べるべき特定のアイドルが居るのである。そのブロマイドと言われれば、ファンとしてはそう言う顔にもなる。

「いいのか?」
「おお。なんか対象雑誌が夏純の買う雑誌だったからまとめ買いしたら、みゆみゆ二枚とマミリンが出たから渡しといてくれって言われたんだよ」

だから礼ならあいつに言え、と、昼食後の緩いあくびをかみ殺しながら言った。
それでも、宮地にもいつもありがとな、とはにかむ大坪と、それにいい笑顔で応える宮地の友情に、木村は何とも言えない顔をした。

「……宮地よお」
「あ?」
「毎度毎度天野巻き込むの大丈夫なのか?」
「はぁ? 巻き込むって……なにに」
「そのアイドルグッズとかの収集だよ」
「ああ……別に巻き込んでねえよ」

あいつが気ぃ回してくれてるだけだし、俺もあいつの趣味手伝うし、とボヤく宮地に木村は首を傾げるが。
天野の趣味については口止めされてるから言わねえぞと宮地に先に言われてしまった。

「まあ、木村が天野と宮地の仲を心配してやったのはわかるけどな、杞憂だぞ」
「別に心配はしてねえよ」
「つーか木村が知らねえだけで、あいつ今普通にみゆみゆのファンだからな」
「……は?」
「気付いたら新参とは思えないくらい詳しくなってたんだわあいつ」
「いやー、宮地と天野がみゆみゆの話してるの見ると凄いぞ? 俺もさすがに気持ち悪いと思うレベルだからな」
「気持ち悪いって何だよ!!」
「ライブで見た動きを完全に記憶してたら気持ち悪いだろ」
「普通だよ!!」
「いやそれはキモい。ていうかよく大坪そんな話聞けるなお前」
「慣れたら面白いぞ」
「慣れたくねえよ」


 
[ 4/6 ]



「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -