従姉妹様の彼氏力検定

2nd Stage‐相性


結局、ベッタリと蔵元にくっついて離れない烏丸を引き連れてひとまず駅のカフェに入った。
勿論及川は目に見えて不機嫌だ。

「円ちゃん、来るなら連絡してくれたらいいのに。そしたら私ちゃんと仙台まで迎えに行ったし、都合のいい日を設定しておいたのに」
「ごめんね瑞姫ちゃん、驚かせたかったの。それに私、心配で心配で……!」

キッと思い切り及川を睨みつける烏丸に、蔵元は首を捻るばかりである。
が、及川はそのあからさまな敵意に気付かないほど鈍い男ではなかった。

宮城と東京と、離れて居るとは言えどうも彼女は蔵元によく懐いているらしい。
つまるところ、大好きな従姉妹を取られて気に入らない、らしい。
((従)姉離れ出来て無いんだなぁ……)

せっかくのデート(それも久々)だというのに、及川のテンションとモチベーションは駄々下がりだった。

「はあ……」
「……あの、及川?」
「うん? なあに、瑞姫?」
「なんていうか、ごめんね? 突然だったとは言え……」

烏丸が化粧室に席を外した隙に蔵元に申し訳無さそうに言われてしまい、溜め息をついたのは失敗だったなあ、なんて。
そう思うと同時に、先程までの蔵元の嬉しそうな表情を思い出して、首を横に振った。

「んーん。まっ、二人きりが良かったのは本音だけど〜。瑞姫も嬉しそうだし結構新鮮なところ見れた、しっ……!?」

突然背筋に走った痛みに語尾が裏返った。
正体なんて考えなくてもわかるものである。

「あ、おかえり円ちゃん」
「ただいま〜瑞姫ちゃん」

うふふ、なんて可愛らしく笑った烏丸が、及川の後ろで口を動かさないまま、

「あんたみたいな優男、絶対認めないんだからね……」

と、低い声で呟いたことなど、やはり、蔵元は気付かないのである。

answer‐案の定最悪
(なんで俺全否定されてんの?)





 


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テーマ「人外ファンタジー」
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