緑と鷹の取り越し苦労


「烏丸。どういうことだ」
「私しょっちゅう瑞姫ちゃんと電話してるのー。で、まあ大部分あんたたちとなにやってるかって言う話してるからね」
「待って、待って円。それって、それってさあ」
「まあもちろんあんた達がニチアサキッズだなんて周知の事実だっつーの」
「聞いてないのだよ!!」
「なにしてくれちゃってんのお前!!」

此処までの苦労が水の泡、どころか、始めから意味のない事だったとわかると、緑間も高尾も、お互いに文字通り踏んだり蹴ったりした足の痛みが急激に増したような気がした。

はあ、と溜め息をつきながらぐったり机に臥してしまった二人に、蔵元は首を傾げて、烏丸はケタケタと笑った。

「あは、やっぱり頑張って隠そうとしてたんだ?」
「そうだったの?」
「鈍いとこにはとことん鈍いよね、瑞姫ちゃんて」

そんなとこも可愛いけど、なんて身内馬鹿を炸裂させる蔵元にガバッと顔を上げた高尾が食いかかった。

「ちょっと待った。お前さあ、まさかと思うけど」
「ん?」
「真ちゃんはともかくなんだけど俺のこと」
「ああ、ロリコンね!」
「やっぱりな! 瑞姫サン騙されないで! 違いますから!」
「えっ、あ、ああ、うん。大丈夫よ、そのあたりは話半分で聞いてたから」
「それならよかった……!」
「俺はともかくってどういうことなのだよこのロリコン」
「お前ら真っ昼間のマジバでロリコン呼ばわりすんの止めて? ほんと止めよ? ってかロリじゃない彼女居るから!」
「いやいや、あれは合法ロリじゃん」
「てめえ!」

ぎゃあぎゃあといささか迷惑なほどに騒がしく。
高尾と緑間と交互に烏丸にからかわれ、その様子を蔵元に笑われて。

なにはともあれ、いつも通り開けっぴろげになった二人に、最初からエンジンフルスロットルだった烏丸と、それを眺める蔵元と。
今朝とは段違いに賑やかしく、蔵元の東京見物は過ぎていった。





 


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テーマ「人外ファンタジー」
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