帝光祭編:発端

 


帝光祭は、各部活での出し物もある。
そして使えるスペースは限られているのだから、当然、人気のある場所は取り合いになるし、出し物の内容が被るのは好ましくない。

よって、実行委員を議長にして、各部代表者(基本的に部長)が出席する会議があるわけだが。

「いいじゃないか、湊。どうしてそんなに頑ななの?」
「私は例年通りの事を楽にやって、例年通りに楽に終わらせたいからだよ」

殆ど注意事項などの伝達のみだった第1回会議後。いつものように、と言わねばならぬのが悲しいかな、会議室から資料室に戻った藍川の前には、赤司を筆頭とするバスケ部レギュラー達が勢揃いしていた。

「中学最後の文化祭でテンション上げないでいつテンション上げるのだよ」
「あんた達は常にフルスロットルだろうが。去年だって赤司、道場破りみたいな真似してたじゃない」
「だって例のジョークペーパー、虹村さんに没収されてやることなくなっちゃったからムシャクシャして」

そんな理由でムシャクシャしたからと言って、部長としての威厳やらプライドやらを粉々にされた昨年のボードゲーム系各部長には同情を禁じ得ないものがある。

が、それとこれとは話が別だ。

「今年もビラ作りに協力するから〜! ねえ湊っちお願い!」
「嫌。私今年は写真部に協力頼まれてるからそっちと半合同だし」
「写真部……!?」
「写真部。会場の設営とか展示とか、あと宣伝も」

だから早く引き上げろと藍川は言ったつもりだったが、そうは問屋が卸さないのがこのバスケ部レギュラー達である。

顔を見合わせて頷いたかと思えば。

「写真部に直談判しにいくぞ!」
「おい止めろ馬鹿共!!」

赤司の宣言で一斉に飛び出したキセキ達を捕まえることかなわず、藍川の視界には開け放たれた資料室の扉だけが揺れていた。


 





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