リセット出来ない恋愛遍歴




意地張ってないでさ、気休めと冷やかし程度に参加してみたら? 案外いいオトコ見つかるかもよ?

と、友人(既婚)から頂戴した案内状を睨みつけたのが2週間前。

そして、返送されて来た招待状を握り締めて会場前にやってきた今現在。

(婚活パーティーか……まさか参加すると思わなかった……)

以前はこんな催しは、出会いの場が無い人達が使うものだと思っていたし、昔は出会いの場が無い、と言う意味がよくわかってなかった節がある。それというのも、男子部のマネージャーから広がった交友関係で、男所帯に居座っていることに慣れていたせいである。

大学時代も新卒時代も一番結婚早そうなんて言われたが、そう言った友人達こそさっさとゴールインしていった。
馬鹿みたいな恋愛遍歴に終止符を打つ為、いざ、と内心勇んで受付を済まし入場する、と。

「あ」
「あ」

ドリンクカウンターで今まさにドリンクを受け取る、見知った顔があった。

「……こんなとこで花巻に会うとは思わなかった」
「おお、まあ、そういうこともあんだろ……」

月に数回、例の飲み会に連続参加中の花巻貴大である。
こんなところで会う以上、目的はわかりきっているし、自分と同じもののはずで。

「……いい子、見つかるといいね」
「お前もな」

受付中の控え時間、パーティの始まりを待つ間にそんな事をボソボソと話したのだけれど。

「……もう無理……」
「……」

開始30分後。
トークタイムと称された、一通りの相手と話をする時間の真っ最中。たまたま順番が回ってきた花巻に絞り出すように本音を零した。

「なんか、もう、変なのがあからさまに興味持ってくる……そういうのいらない……もうやだ……」
「……気を確かに持てよ保科」
「無理……」

心なし青い顔でふるふると首を振る保科に、これはかなりキテるなあ、なんて思いながら自分の両側を盗み見る。
幸い、次に回ってくるらしい男はそれほど主張も強く無さそうで、保科の精神を削る相手では無さそうだ。

花巻がそんなことを考えているとはつゆ知らず、保科はといえば握り締めたグラスを見つめて「なんでこれお酒じゃないんだろう……焼酎飲みたい……」なんてボヤいていた。

「保科」
「……なに」
「頑張れ。これ終わったら付き合うから。奢る」
「……がんばる」
「おう」

丁度、ここでアラームがなってしまい。
やる気も生気も中々失せてきている保科を心配しつつも、花巻は次の席に移動したのだった。


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