03
おやつ代わりに買った購買のラスクを食べていると、ぬっと影がさす。
ふと顔を上げると、金田一が立っていた。
逆光で顔が見えない。
いや怖いよ普通に。
「ど、どしたん金田一……?」
「あのよ」
「ごめん座って。顔見えなくて怖いしあんたデカくて威圧感ある」
「えっ、あ、悪ぃ」
隣の山田の席の椅子を勝手に引き出して座るように示した。
金田一も素直にそれに座って、またあのさ、と話を切り出した。
「お前、なんか怒ってる?」
「……それ、国見に聞かなかった?」
「えっ」
「ごめん、やっぱ今の忘れて」
国見がわざわざ言うわけないわ、とがりり、ラスクに噛みついて思い直す。
困惑した顔になる金田一に、まるで私が悪いみたいだなあなんて考えながら。
「私はね、金田一」
「お、おう」
「金田一の事を友人だと思っているわけだよ」
「おお……?」
「例え君がそうは思わなくてもだ」
「いやっ、別にそんな事は、ねえけど……」
「うん、ありがとう」
あわあわとしだした金田一をまあ落ち着けとおとなしくさせて。
しかし、キッと睨んで。
「だから、都合のいい奴みたいに影山との橋渡しに使われるのが納得いかないわけ。わかる?」
「う……っ」
影山、という単語に眉を寄せつつ、私の目つきと言葉に次の句を詰まらせる。
それさえ止めてくれればなんの文句もない、とも伝えた。
ものすごく渋い顔になって、悪かった、と金田一は零した。
君は判ってくれると信じていたよ。
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