北一トリオと。
近頃私の周囲が中々歪な関係にある。
というのも、たまたま小学校が同じだったというだけで私はコミュ障の権化とも呼べそうな少年、影山飛雄とまあまあ比較的仲がいい。単にあいつの馬鹿さ加減と天然っぷりに慣れていてはいはいそーだすねと流せるだけの話なのだけど。
そして、こちらは中学に上がってからだったが、初めて隣の席になったゆるゆるナマケモノ系男子の国見英とは妙に気があって、わりと早いうちにそこそこ仲良くなった(と、思う)。
そんな国見繋がりで、彼とは真逆なスポ根系男子金田一勇太郎とも、そこそこ交流を持つようになった。こいつがまたいいやつなのである。今時絶滅危惧種なくらい。
そんなわけで、女子に限らず男子ともそこそこの交流を持った私は三年間を優雅に有意義に過ごす予定だった。
……が。
「これプリント影山に回しといてくんね」
「……うん」
「……これ、国見に渡しといてくれ」
「……おう」
「……これ、影山から回ってきた奴」
「ああ、サンキュ」
な ん だ こ れ は !
金田一と国見は変わらないのだ。一年の頃から見てきた通りなのだ。
が、元々それ程仲良しこよしじゃなかったとは言えこれはなんなんだ。
金田一も国見もなんで影山いくのに私を挟むのだ。
影山に至ってはなんかもう私が対して交流もない奴が相手の時さえ私を挟みやがる。私は万能パイプではないんだぞ。
あとなんか最近はそれこそあんまり交流がないような男子から影山への物を預かるんだが。
「みんな私をなんだと思ってんのよ……!」
いじめだ。主に私への。私は便利屋かなにかと思われているのか。許さん。絶対に許さんぞ。
ぐぬぬ、と奥歯を噛み締めて、明日からの新たな決意を胸に教室を出た。
「あっ、丁度よかった。これ影山に頼む」
「……うん」
いきなり出鼻をくじかれた気分であった。
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