03

 


中学を卒業した私は、女子校に入学した。
男子のいない女の園はとても開放的だ。女子が女子ではなくただの性別:女だ。

朝からどこの誰がどうだったと噂話に精を出し、休み時間には下ネタや生理用ナプキンが飛び交い、放課後には円になってクラスメートの陰口をたたき、全く女とは忙しいな。

これで一歩学校の外に出たら綺麗に繕って笑えるのだから、彼女達はみんなある種女優に違いないと馬鹿な事を考えながらよくわからない話にあわせて適当に相槌を打っていると。

「あ、男」
「うわ、ほんとだ! ちょっとかっこいい!」
「えーっ、あの制服ってどこのだっけー?」

言いながら、誰もがスマホや鏡を取り出してメイクや髪型のチェックとは。
全く女とは本当に忙しい。

「桐皇だよ」

誰かの疑問にそう答えながら、校門に背を預けて立っていた男子に声を書けるべく、友人達から離れた。

「今吉さん」
「おー。良かったわー、まだ居ったんや」
「ええ、まあ。で、私に用事なんですか?」
「なんやあの教室じゃないとこで会うん新鮮やなー」
「会話して下さいよ」

思わず溜め息をつくと、せやなあ、と言ってにい、と口角をつりあげた。そしてブレザーのポケットからトランプを一組取り出して。

「久々に、ええやろ?」
「……マジバのアップルパイとポテトのSとあとホットコーヒーで」
「うわあ揚げもんばっかで太るで?」
「うわあ女の子に言って良いセリフじゃないです信じられません傷つきました」
「うそうそ。交渉成立や、行こか」

三年前より少し伸びた背も、髪も、全然違う制服も。
そしてそれなのに変わらない態度や言動が。

確かに少し、新鮮だった。


 
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