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「今吉さんと花宮さんが仲良いのってなんか意外ですよね」
「キモいこと言ってんじゃねえぞクソガキ」

盛大に眉根を寄せた花宮に、ふ、と薄く笑みを浮かべた。

「誰と誰が仲良いんだよ」
「今吉さんと花宮さん」
「はっ、気持ち悪い」
「わあ酷い顔」

くすくすと笑いながら、だって、と自前の考察を口にする。

「今吉さんて、花宮さんの苦手なタイプでしょう?」
「……うるせえよ」

はっきりとした否定が無いこと自体、花宮の肯定に他ならないと、また彼女は笑った。

今吉も花宮も、そして彼女だって。
この空き教室の外では人の良さそうな笑みを浮かべ、年上は敬い同級生には当たり障り無く誰に対しても実に好感の持てる態度で居るよう心掛けている。
そうして彼らは、基本的には、どの学年の教師からも信頼厚く、実に平和に学校生活を送っているが。

「全く日本人てのは実にストレスを溜め込む人種ですね。そうは思いませんか花宮さん」
「ふはっ、媚びへつらうのも楽じゃねえってか?」
「私の繊細な神経は日々ゴリゴリ削られる一方です」
「その割に毎週毎週今吉さんには容赦ねえじゃねえか」
「ポーカーで負けてあげてるんですからいいじゃないですか」
「は、言いやがる」

カツン、と。黒の駒が小さく音を立てて盤を動いた。

「チェック」
「……はああああ。やっぱりチェスは花宮さんとやるべきではないですね」
「残念だったなぁクソガキ」

に、と意地悪く笑った花宮に、彼女も、次はポーカーやりますか、とこれまた意地悪く笑って見せた。


 
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