02

 


「あれっ、森山じゃん」
「おー。こんなとこで会うとはな」
「運命?」
「いやお前と運命あってもなぁ」
「てめえ」

人がごった返す某神社。
御守りを握り締めた私と、鉛筆を握り締めた森山は偶然鉢合わせた。

「鉛筆?」
「うん、受験用」
「へー。御守りは?」
「勝負事で神頼みはしない主義なんだよ」

じゃあわざわざ神社に買いに来るなよ、とは思ったが言わないでおく。
変わりに、おみくじ引こうよと誘うと、人の波を見てからほんの少し渋い顔をして、まあいいかと頷いた。

御同類様の多い境内を、なるべく人の少ない方へと歩いておみくじの台に辿り着く。
二人で引いて、せーので開けて。

「……こんな事ってある?」
「……まあ、元気出せよ」

森山が大吉。私は凶。なんてことだ。
結果はものの見事に散々すぎて途中で読む気も失せてしまって、細長く畳む。
悪い運気は置いていこうと結ぼうとしたが、既に沢山結んであってスペースが無い。

高い位置はまだまばらで、森山が代わりに結ぶと言ってくれるのに甘えて差し出した。

ぷりぷりと口を膨らせながらそれを眺めていたら、結びながら森山がよくわからないことを口走った。

「あのさー、ちょっと俺今から懺悔みたいな暴露すっから、お前引くなよ」
「え、なに。今更あんたに引くようなこともないと思うんだけど」
「……お前、さあ。昨日学校でここに来るって話してたろ」
「? うん」
「俺それ聞いてたんだよね」
「ん?」

話が見えない。
それが一体なんだというのか、と首を傾げると、切れ長の目がちらりとこちらに向けられる。
うわっ、普段の言動はアホっぽいのに顔が整ってるから今の流し目はずるいな。

「鉛筆とか普通に家にあるし、わざわざ神社に買いにも来ない。普通は」
「はあ?」
「……お前にっぶいな。お前が今日、ここに御守りを買いにくるって聞いたから、ここに来たんだっつってんの。わかった?」
「……は?」

ほら、おみくじ。隠し事は打ち明けるが良しって書いてあったから。恋愛はうまくいく、だしさ。

そんな事を言って、わざわざご丁寧に自分のおみくじを開いて見せてくれた。

そういえば、先ほどチラリとみた私のおみくじ。
恋愛は、素直になれば吉、だった気がする。


 
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