05

 


ヴヴ、と震えたスマホを確認して2、3操作してくすりと笑う。
すると片やストローをくわえて、片やパンをくわえて、二人の友人が振り向いた。

「どした」
「ん、影山からlineきた」
「あいつやってんのかよ」
「やってるよー。あいつあれで結構律儀なんだよ。私がすげー下らないこと言ってもいちいち話題に乗っかろうとすんの。最近それ顕著でちょっと可愛い」
「可愛い、ねえ……」

ずるる、と国見の飲んでいたキャラメルラテのパックからの音を聞きながら、うん、と頷いた。

高校一年。私は、青葉城西高校に進学していた。それまで腐れ縁が続いた影山とは離れてしまった上に、彼と揉めた(?)部員の殆どが進む高校への進学となった。
まあだからと言って私と影山との関係は特に変わらなかった。

SNSやメールなんかで下らない話をしてみたり、たまに、ごくたまに電話でやっぱり下らない話をしてみたり。

そう言えば、電話で思い出した。

「こないだ影山に謝られたよ」
「え、あいつが? なんて?」
「中学ん時の事、悪かったってさ。今更だよね。当時にも私謝らせたのにさ」
「あー……パイプやって貰ってたときの?」

バツが悪そうに言う金田一と、ああ、と飄々と納得したように呟く国見の反対加減に笑いそうになりながら、そう、と頷く。高校の入学式で会ったときは驚かれたけれど、彼らとも今もなんやかんやいい友人関係を継続出来ている、と思っている。

「お前が居てくれてよかったと思う、だってさ。笑っちゃうよね」
「うーわ、こっぱずかし」
「あいつそんなキャラかよ……」
「影山も大人になったんだよねー。烏野でさ」

lineに貼られた鮮やかなオレンジ色。
その後ろで意地悪そうに笑う長身の眼鏡の男子とか、彼の隣で笑いをこらえたそばかす顔の男子とか。
私の、チームメイトはどんな感じなの、という言葉への返事で、一年はこんだけ、という短いコメントと一緒に明らかに隠し撮りなそれ。

楽しそう、いつか紹介してね、と打ち込んでにんまり笑った。

うん、高校も中々に有意義な毎日だ。


 
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