赤司のお姉さん3
2014/01/11 02:14

 


誰よりも遅くまで残って、シャワーを浴びてさあ帰ろうとしたとき、体育館の電気を消し忘れていたことに気付いた。
そう言えばあとでやろうと思ったんだった、と慌てて向かうと、だむだむ、とボールをつく音。

青峰くんはまだいたのだろうか、と覗くと。

ボールは綺麗な放物線を描いて、ゴールをくぐった。
思わず見入ってしまうくらい綺麗なフォームでボールを放ったのは、女子で。くるりと振り向いたかと思ったらにこりと笑った。目が、あった?

「見られちゃった」
「え……あ、あの」
「私がここにいたこと、誰にも言わないでね。黒子テツヤくん」

口元に人差し指を立てた彼女にえ、と零した。
悪戯っぽくほほえむ顔が、彼にどこかにていた。

「あなた、は」
「……赤司征華。二人だけの秘密、ね?」

特に、征十郎に言っては駄目よ。

ボールをカゴの方へと無造作に放り投げてまたね、と彼女は帰って行った。ボールは、しっかりとカゴに収まっていた。

「あー? 赤司? ああ、征華の方な。同じクラスだから知ってるわ。あいつも補習常連組だし」
「え、そうなんですか?」
「おう」
「あの子トロいよね〜。俺も去年おんなじクラスだったけど、体育とか出てんの見たこと無い」
「マジ赤司のねーちゃんって知ったときはビビったぜ」

山のようなバーガー類をもりもりと消費していく二人を前にバニラシェイクをすすりながら、そうですか、とどこか上の空に呟いた。


 



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