※イオン、ジェイド
「イオン様。失礼なことを聞きますが、リジィ様は本当に貴方の被験者なのですか?」
「……はい、間違いないと思います。同じ顔をしているとはいえ、あの人の表情を真似て他者に悟られないように、と言われてきたので……」
「ふむ……となると、やはりディストが実験に絡んでいるのは確実ですか」
「僕はあまり生まれたばかりの頃の記憶ははっきりしていないのですが、おそらくそうだと思います。ヴァンやモースからは『ディストと被験者は仲が良かったから煩わしく思っても友好関係を保つように』と言われましたから」
「やれやれ、アレを『友達』と臆すること無く呼ぶとは、以外と変わり者のようですねぇ」
「……僕が教えられた限りでは、4歳の時に出会ったということでしたよ」
「……ふむ。その話が本当なら、リジィ様の言葉に偽りは無いのでしょうね。……それならディストが先生に関さないことで進んで協力するのも頷けるか」
「え?」
「いえ、独り言です。……これから彼らと行動をともにすることになりますが、気になることなどありましたら遠慮なく我々に仰ってください。よろしいですね?」
「……はい。お気遣いありがとうございます、ジェイド」
(……遺伝子の操作、か。シンクの目がやや吊り目なのもおそらくそのせいでしょうね。イオン様にそれが現れていないように見えるのは、性別を変えるのは簡単でも他の部分を変えるのは難しかった、という所か。いずれにせよ、リジィとディストが神の領域にまで手を出したことは、言うべきではないでしょう。……その後がどうなるかはわかりきっていますから、ね)
ジェイドがたどり着いたほぼ確信に近い推測。