Skit

リジィと名乗った少女



※ティア、ナタリア、ジェイド、アニス、ガイ、イオン



「…………」

「……ジェイドの旦那、苛立ってるなぁ……」

「そりゃそーだよ。あんな風に言外に『言う通りにしなきゃイオン様やモースにお前たちを処刑させるぞ』、なんて脅されたら……。もぅっ、あの人イオン様を何だと思ってるの〜!? こーなったら菓子折りの一つや二つ持ってこなきゃ許さないもんね! ぶーぶー!!」

「アニス……いいんです。僕は……」

「おいおい、イオンまでルークみたいに卑屈になる気か?」

「い、いえ……そんなつもりはないのですが。ただ、僕は被験者の本当の性別すら知らなかったのだと、思って」

「ええ、それには驚きましたわ。私は過去に何度か被験者イオン……リジィとお会いしましたが、歴代の導師同様殿方であると疑っていませんでしたもの……」

「そうね……まさかリジィ……様、が女性だったなんて」

「シンクは知っていたようでしたし、やはり僕は、嫌われているのでしょうね」

「嫌われてるにしては妙な感じがするけどなぁ……」

「……ふむ…………」

「もー大佐ぁ、そろそろ機嫌直してくださいってば!」

「……ええ、そうですねぇ。見誤っていた自分に苛立つよりも先に、これからの彼らの処遇の方を考えないといけませんね。全く、我ながら厄介な拾い物をしてしまったものです」

「……目が笑ってないぞ、ジェイド……」

「はっはっはーそんなことありませんよ〜? ……それより気になるのは、リジィ様のルークへの用事です」

「そうですわ、リジィはバチカルに来たこともあるはずですが、ルークはその当時屋敷に軟禁されていましたのよ。それは私もガイも居ましたから、間違いありませんわ!」

「ああ。ナタリア姫が公務の際はルークも喜んで剣術稽古してたしなぁ」

「ルークには接点が無いようだし、あるとしたらアッシュ関係、かしら? でも、アッシュはイオン様について何も言っていなかったし、リジィ様と知り合いだったかも分からないし……」

「もーっ!! 謎が多すぎるよ、あの人〜!!」




「……ルークとシンクは被験者に気に入られている。なのに僕は、何故……?」






悩めるイオン様。そして菓子折りはしっかり準備済みだったとさ。



/ bkm /

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