※被験者、シンク、ディスト
「…イオン」
「ん?」
「ぼくと、いっしょ?」
「……そうだよ。いつかお前が一人で生きていけるようになるまで、僕が一緒にいてあげる」
「…一緒。生きる…」
「…ふふ。まだそんなに悩まなくてもいいんだけどな」
「あーもう!! 貴女はまた勝手なことをして…! 私が大詠師モースやヴァンに絞られるんですからねッ!?」
「何言ってるの、サフィール。お前のことは僕が庇ってやるに決まってるでしょ?」
「!!」
「それより、傷を治さないとね。…癒しの光よ。ヒール」
「…! これ、すごい…」
「ふふ。…そういえばディスト。シンクの音素乖離の可能性は?」
「! え、ええ…シンクを構成する第七音素と保有第七音素の合計数値的に、早々に対策を取らなければ乖離は免れませんが…」
「そう。…シンク、服を脱いで」
「ちょ、ちょっと待ちなさい!」
「なに?」「…?」
「二人同時に首をかしげるな! …そうじゃなくて! 貴女は一応女性なのですよ!」
「イオン、女なの?」
「そうですイオンは女性なんです!! シンクは貴女のレプリカとは言え私の素晴らしーい技術によって男として生まれてきてるんです!! 貴女はもう少し恥じらいというものを、」
「シンク、両腕を上げて」
「こう?」
「そうそう。そのまま…少し痛いけど、我慢できるね?」
「…うん」
「いい子だね」
「あああああああ!! ちょ、ちょっと! その布を捲ったりしたら……!! あああああああああ!!」
「ッ!! あ、ぅぅ…っ」
「………終わったよ。よく頑張ったね」
「……うん…」
「(なでなで) …あ、サフィール、シンクの服を用意しておいて。それから生活に必要なものも、全部」
「あ、はい…」
「それじゃあ行こうか、シンク」
「うん」
「…導師エベノス。導師イオンは随分と男前に成長しましたよ…」
…作って捨てる可能性のあるレプリカに、ちゃんとした構造の服を着せなかったヴァンたちや研究者。…パンツも穿かせてるわけないよね。