Ib

13/04/06/ (Sat) 21:16



Ib ver1.5フルコンプしてきました。
ネタバレ満載につき、未プレイの方はご注意ください。




どんなゲームにも言えることですが、すべてクリアしてしまうとなんだか寂しいですね。
それでも何度も繰り返しプレイしたいと思える作品が名作と呼ばれていくんでしょうね。アビスもそうですし、Ibもきっとそうだと思います。
Ibは美術館が舞台のフリーホラーゲームということで、当時珍しいな〜と思いプレイしていたのですが、可愛いドットやイラストの割にものすごく脅かされましたし怖かったですし、ホラー苦手なのになんでやろうと思っちゃったんだろうと最初プレイしたときは後悔しながらやっていました。

まあ、最初に迎えたED「忘れられた肖像」でそんな後悔吹っ飛びましたけどね!!

それから繰り返しプレイしていくうちに細かいギミックやイベント、同行者によっては台詞の追加など細かく作りこまれている世界観に惹きこまれました。
私もちょくちょく油彩とかやるんですが、私も魂込めて作品作ったら作品が動きだしたりするのかなーとか思います(笑) ハリーポッターを初めて見たときにも思ったのですが、絵が動くって絵を書く人間にとっては夢のような話ですよね。漫画がアニメになるのは今や当たり前に近いですが、「絵が動く」感動は忘れられないものだと思います。自分の作品なら尚更。


前書きがやったら長いですね(苦笑)
感想ですが…今回もゾッとさせてもらいました(笑)
バグがあると言う話だったので、ver1.5に更新されてからプレイしようとプレイするのを楽しみにしていたのですが、追加されていたEDが二つともバッドエンドとは思ってなかったです。

とはいえ、二つを比較するとバッドエンドらしいバッドエンドは1つですが。
まずクリアしたのは「ゲルテナの世界へようこそ」でした。心壊ギャリーが一人で延々と喋り続けているのは恐ろしかったですが…せめてうさぎさんがいればいいのにそれすらなくなって、驚いていたら今度はイヴが心壊を起こして座りこんでしまうし…。
バッドエンドフラグびんびんでしたが、一度部屋の外に出たメアリーが戻ってきます。そして外に出たかったけど折角友達になったんだからと…ゲルテナの世界へご招待。
赤い服の女や青い人形など、メアリーのお友達がたくさん集まる部屋。これはこれでゾッとしましたが、二人ともぐったりしてるのに一人だけ楽しそうな笑顔のメアリー。鳥肌が立ちました。


これが噂のゾッとするEDかと思っていたら大間違いでしたね。


その後に「ある絵画の末路」をプレイしたのですが、こっちは「ゲルテナの世界へようこそ」よりずっと恐ろしかったです。何か得体のしれない恐怖感が這い上がってくる感じで………。
ざっくり話しますと、先程のEDの時に一度外に出ていったメアリーが、二人の元に戻らず一人で外を目指しはじめます。おお!これが噂のメアリー操作!と思っていたので色々と見て回りました。これはメアリーにとってのハッピーエンドに行くのだろうと。聞き耳に話しかけるメアリー可愛い。ちゃんとメニュー画面がスケッチブック風だ…とか思っていたら、「憧れ」のある小部屋で無個性さんにどいてもらって下へ下へ。そのまま見覚えのある美術館にたどり着くんですが、いつものように「絵空事の世界」に飛び込んで…アレ?

人が一人もいない美術館。あれ?あれ?と思う気持ちがメアリーとシンクロしていたと思います。お菓子も友達もいない。明るい世界?明るいだけの世界。何もない。青い文字が壁に出てきてメアリーを諭すけれど、メアリーはそれを無視して進んでいきます。ずっと憧れていた、明るい「外の世界」を信じて。ところが……出入り口が開かない。窓も開かない。人もいない。壁際から浸食してくる黒。深海の世から溢れ出る水。どんどん暗くなっていく視界。「お父さん」と呟いて、美術館にあった「ある少女の末路」のようにひとりぼっちで、体力も尽きて………。

……なんというバッドエンド。だんだん暗くなっていく美術館は前のEDの比じゃないくらい怖かった……精神にじわじわきます…今でも思い出すと鳥肌が立ちます。超怖かった…。


「三人で脱出」が理想のEDだとしたら、ある意味三人無事にゲルテナの世界にとどまる「ゲルテナの世界へようこそ」はハッピーエンドなんですね。他のEDはイヴとギャリーか、メアリーとイヴか、イヴだけが脱出できるのか、それともひとりぼっちで……なのか、でしたからねえ…。
「ある絵画の末路」が一番のバッドエンドでした。本当にそう思います。誰一人として幸せになんてならないし、たぶん絵画にも戻れない。恐ろしいEDでした…。

思いだすのも怖いので、楽しみにしていた追加マップの話!
メアリーを燃やす、もしくはイヴ一人だけで脱出中に「スケッチブック」から階段を下りた通称「美術館?」の入口に新しい階段ができていました。ギャリーがいると見覚えがあるようなことを話してくれます。下へ下へ下っていくと、「青い服の女」が。よく見るとマップがはじめて「青い服の女」と出くわしたところとそっくりでしたね。


そこを抜けると追加マップに!沢山新しい美術品がありました!個人的に好きなのは「死後の逢瀬」でしたね。ギャリーが「どういう気持ちで作ったのかしら」みたいなことを言っていましたが、私的にはガイコツがゲルテナで、女性が恋人or妻だと思うんですよね。個人的な解釈ですが、「赤い服の女」は「愛人」と噂されていたので、特別な女性は別にいたのかな?と思っています。どうしてその女性の絵がないかというと早くに亡くなったり、現実の人間を描くのが好きじゃなかったから、かなーと。死んだら会えるだろうか、みたいな考えで作ったんじゃないかなと思っています。ちなみに私の中でのゲルテナは「金髪」。二人の間に生まれてこれなかった子供を想像で描いたのが「メアリー」…そう解釈しています。勝手な話ですが。


他にも可愛い小鳥さんや「どうみてもジャガイモ…げふん」と思った作品、超怖いしver1.4でバグが発生しまくったという「単眼の部屋」などなど…大型の作品が多かったですね。個人的に、イヴ一人で追加マップに来た時の、布がかぶせられた絵の部屋で目を描いたゲルテナの作品をまとめた本?の「単眼の女性」の項目の最後に出てきた「こんなふうに。」が怖かったです。イヴの背後に「単眼の女性」の絵が……!!思わず叫びました…。あれは怖かった。あ、それとギャリーと一緒にいた時に「秘密の部屋」から帰ってきたときの反応が好きです。「ごめんなさい…」を選ぶとギャリーが冷静になって「怒鳴ってごめんね」と謝ってくるのが好き。ギャリー超いい男ですよね。子供にやさしく気遣いができる男の人って素敵。


それと怖かったのは…追加マップでの新しい敵「失敗作」。顔を黒く塗りつぶされた男性の絵なのですが、一体誰を、もしくは何を描こうとしたものなんでしょうね…。何を描こうとして「失敗」したのか…。そしてギャリーも言っていましたがどうしてそれを額縁に入れておこうと思ったのか。失敗作なら額縁になんて入れないでしょうに。というか他にあるであろう数多の失敗作はどうなるのかというお話です。何故あれは「失敗作」になったのか…すごく気になります。しかも動きがランダムなので「コレクション」のあたりで追い詰められそうになった時は本当に怖かった……。それと「コペルニクス的な(略)」のところで突き落とされた時も。後から追ってくるのとか本当に怖かったです。でもその部屋にいたガラスケースさんは可愛かった(笑)


そして…「ゲルテナ」。自画像ですね。ギャリー曰く「ゲルテナは自画像を描かなかった」らしいですが、自分の顔こそ映していないものの自画像は描いていたようですね。それとも、パネルに分かれていたことを考えると、一度作ったものを分解して処分でもしたのでしょうか…。でもこれは少なくとも晩年に描かれたことがわかりますね。「ゲルテナ」は、彼自身の背中が大きく描かれ、手はキャンバスに向けて絵を描いてる。そんな絵ですが…筆に乗っているのは緑の絵の具。描いている作品は、おそらく「メアリー」。彼の最期の作品です。「ゲルテナ」が描かれたのは「メアリー」と同時期で、たぶん「メアリー」よりも先に完成したんじゃないかなと思っています。…「メアリー」はやっぱりいろんな思いを込めて描いたんだろうなとか、想像が広がります。


美術館の最後の作品…「最後の舞台」は、白くて丸い大きな絨毯?の上に、ダイヤの形をして「指定席」に似た装飾のされたベッドが置いてある、という作品です。周りの色は壁も床も黒に近い灰色。近づくと「寝てみる」等の選択肢が出てくるのですが、イヴ一人の時に寝てイベントを最後まで見ると「ひとりぼっちのイヴ」にたどり着きます(笑) ギャリーがいると選択肢を選んでも止められるのですが。でもイヴの私生活がちょっとだけ見えるので、「ひとりぼっちのイヴ」の中では一番好きですね。イヴが心壊を起こすと青い人形がうさぎさんに見えたのはお父さんのせいだったんですね…娘が可愛くて仕方ないんでしょうねぇ(笑) 嗅いでみると懐かしいにおいがするベッドですが、それを通り過ぎて「美術館?」に戻り、あとは普通にEDへ向かう…と。


…「最後の舞台」ですが、これはきっと「舞台上に置かれた、スポットライトの当たっているベッド」を白く丸い絨毯とベッドで表しているんだろうなーと思います。形から「指定席」と対なのかな、とも思うのですが…先程の「死後の逢瀬」の考察に合わせると、「指定席」に座るのは奥さんか娘か……。と。ベッドに向けることで、観客側と役者側にわけられると思うんですよね。まぁ「最後」というのは言わずもがな…って感じですが、「死」でしょうねぇ…。ゲルテナは少なくとも晩年には「作品は完成した時点で価値を失う」と考えていたようですから…。「メアリー」の背景が白だったのはそういうことなのかなぁと考えてしまいます。全ての作品を、自らの死を以て「未完成」にしたのかな…と。


私は元々美術館が好きなのですが、作品を見て思うのは「この人は何を思ってこういう作品を作ったんだろう?」ということです。きっと皆考えることですよねぇ。Ibに出てくる作品はみんなそう思える不思議でちょっと怖い作品ばかりで、ゲーム中にビビりながらも沢山考えさせられました。

想像するのって楽しいですよね。だけど創造するのは苦しいんですよね…。だけどそのどちらをも好きだから、苦しいけど楽しいんですよね。

絵もそうですし、小説もそうですし、きっと音楽もそうでしょう。「生み出す」と言うことは苦痛を伴うものです。どんなものであれ、きっと。
「ふーん」と素通りされることのないように愛情をこめて魂を込めて作品作りに精を出すこと…ゲルテナが考えたことにはすごく賛同できます。ギャリーは割と素通り気味に美術館にいたからゲルテナから嫌われていたのかな…(笑)
…Ibはやっぱり印象深い作品ですね。いっぱい考えましたし、楽しかったし、怖かったし。
私も誰かの心に残る作品を作っていきたいものです。


長くなりましたが、感想は以上です。
ここまでお付き合い頂きありがとうございましたー!



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