「答えてくれないならオレの好きなようにするよ」

言葉と同時に男の手が下着にかかる。
捲くれ上がったスカートから完全に露出してしまっていたそれは、名前があっと叫ぶより先にいとも簡単にずり落ろされてしまった。

「ちゃんと気持ちよくしてあげるから心配しないで」

わざとらしい甘い声を出され、名前は顔をしかめる。
恋人同士の合意の上のセックスでもなし、こんな状況で優しく囁かれても逆に気味が悪いだけだ。

けれど男は表情を更に強張らせた名前を少しも気にせず、夜の冷たい外気に触れて敏感になった彼女の秘部を指で刺激する。

「…ん…」

突起を何度も小刻みに擦り上げられ、次第に高ぶってくる劣情を認識した名前は、できる最大限の抵抗として零れそうな声を堪え、その様子をにやつきながら見つめる男の視線から顔を背けた。

「どう?気持ちいいだろ。こういうことはお互い楽しまなくっちゃいけないってのがオレのポリシーなんだ」

男はそんな彼女を言葉を使って煽る。

「もうこんなに濡れてるよ。そろそろ欲しくなってきたんじゃないか?」

違う、そんなことない。そう言い返そうとしたところを思いがけず口づけられた。
阻む隙を与えずに無理矢理侵入してきた彼の舌の、なまめかしい動きに翻弄される。

歯列をなぞられ、上顎を擽られ、ぼんやりとしてきた名前の頭に「舌を噛み切ってやる」という選択が浮かぶことはなかった。

男は彼女のその変化を見逃さず、唇をキスで塞いだまま、下の口にも指を挿入する。

「ふ…っ、…!…」

急に襲った異物感に、一瞬我に返った名前はくぐもった声を上げた。
だがそんなことでは男の指は止まらない。
続いて二本三本と入り込まれ、中の弱い場所を執拗に攻められる。

「あ…っ、あ…、あ…!」

いつの間にか離されていた唇からごまかしきれない喘ぎ声を漏らしながら、名前は自分が徐々に快楽に流されていくのを自覚した。



「もっと良くなりたかったら言う通りにしてごらん」

腰砕けになるまで中を弄られ、すっかり彼の技巧の虜にされてしまった名前は、恥じらいに頬を染めることもなく指示通りに壁に手をつき、男に向かって尻を突き出したあられもない体勢をとった。

「あはは、いい眺めだ。それじゃあ戴くよ」

男がそう言うのが聞こえ、そして同時に局部を甘い圧迫感が貫く。

そのまま遠慮なしに深く浅く何度も出し入れされて、大きく揺さぶられる名前は、息も絶え絶えになりながら煉瓦塀にあてた両の掌でその体重を支える。

「ほら、腰が下がってきてる。そんなんじゃ奥まで突けないだろ」

臀部を掴まれ固定され、がつがつと貪るように最深部ばかりを突き上げられて、頭が痺れるかと思うほどの快感が名前を支配した。
結合部からはとめどなく溢れる愛液が力強い抽送に合わせて飛び散っている。



幾度かのオーガズムを味わった後、中でびくびくと脈打つ感覚に、名前は男の絶頂を知った。

彼は射精を終えるとすぐに中から自身を引き抜いて、そして支えを失った彼女の身体は石畳に崩れ落ちる。

「うーん、君とオレの相性はまずまずといったところかな。なかなか良かったよ、楽しい時間をありがとう」

男はそんなことを言いながら、抜き取ったペニスに絡む自らの精液を名前の服で拭い、手早く身支度を整える。

「じゃ、急ぐから。また会えるといいね、チャオ!」

キスを一つ投げ、それから名前に背を向けた。

悠々と立ち去る彼の姿を、疲労と激しい性交の余韻で動くことのできない彼女は呆然と見送る他になかった。

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