「ひっ、ああ…!」

挿入するとすんなりと奥まで届いてしまい、無理に捩じ込んで苦しめてやるつもりが叶わなかったアバッキオは舌打ちする。

「喜んでんじゃねえよ、クソ女!」

「あああっ!痛い…っ!」

平手で身体を打ち据えられ、名前は身をよじって絶叫した。
叩かれたところがひりひりと熱を持ち、全身が燃えるように感じられた。

「てめえとヤんのはこれで最後のつもりだったが気が変わった。
何度でも苛めてやるよ。遠慮なんかいらねえよな」

アバッキオのいつも冷酷に凍っている瞳が、今は古傷をえぐられた怒りに燃えて自分を見つめている。
名前はこれでいいんだと、乱れる自分の心を鎮めた。






彼は彼女が秘めた想いを伝えた時、自分は特定の女と安定した関係を築くつもりはないと答えた。

今は肌を重ね合わせる仲だが、それも一時的なこと。
アバッキオと身体を繋ぐ女は名前の他に沢山いるし、名前の代わりもいくらでもいる。
そしていつかは離れる時がきて、連絡も途絶えてしまうだろう。

しかし名前は他の女達と同じように忘れ去られるのは嫌だった。

彼の恋人にはなれなくとも、せめて記憶の片隅には存在していたい。たとえそれが酷い記憶だったとしても。






アバッキオが動く度、名前の手首に繋がれた手錠がガチャガチャとうるさい。

「あはっ、…警官、してる時の彼女とも、こ…んなプレイ、したの…っ?」

「……」

彼は質問には答えず、名前の中から抜き出したもので彼女の口を塞ぎ黙らせた。

「んぐ…っ!」

そしてそのまま射精し、ペニスで喉に蓋をして無理矢理飲み下させる。

「ん……んっ…!んぶ、っはあ、っ…」

全て飲み干した後でやっと口から抜いてもらい、目に涙を浮かべて噎せる彼女をアバッキオは勝ち誇った笑みで見下ろした。

「これでおしまいだと思ってんなよ。明日もこの部屋に来い、いいな」

「…ええ、望むところだわ」

名前もベッドに這いつくばりながらも挑発的な笑顔を作ってそれに答える。


こうして彼女は彼と自分の心に重く冷たい手錠をかけた。

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