今日の分の家事を全てこなし、部屋で休もうとする彼女をチョコラータが呼び止めた。

「仕事はまだ終わってねーぞ」

こっちへ来いと手を引かれ、彼用の寝室に連れ込まれる。
何をするかよく分かっている名前が自ら服を脱ぎだすと、彼はそれを面白くなさそうに見、文句をぶつける。

「お前に恥じらいって物はねえのか」

そうは言いながら、目は欲情に光っている。

自分も邪魔な衣服を脱ぎ去り、彼は名前をベッドに突き飛ばすと同時に上に乗って深い口付けをした。

「チョコラータ、痛い」

「無駄口を叩くな」

少々強引なキスは前歯が当たるし、マットレスに突いた右手が髪を踏んでいる。
名前が痛みを訴えても、チョコラータはそれらのことに全く気が付かないようだった。

明らかに気が急いている。

そんな彼にわずかな戸惑いを感じながら、それでも名前はいつものように感じ、喘ぎ、受け入れる。


「今日の男はこの間と同じ奴だったそうだな」

これから挿入しようというとき、彼が口にした一言。

疑問が氷解し、名前はチョコラータがそんなことを気にかけるのかと嬉しい驚きを感じる。

確かにあの男は前と似たような格好をしていたし、尾行していたセッコの目にも同一人物だと分かっただろう。

「そいつが好きなのか」

「いいえ、別に」

いつになく直接的な物の聞き方をしてくる彼にも、名前は短く簡単に否定する。
すると目の前のチョコラータの顔に少しの安堵が見え、しかしすぐに強張った。

「好きでもない男と寝るのか、やっぱりお前は尻軽だな」

お仕置きをしなくちゃならない、と低く言い、その声と共に挿入がなされた。

そこからは普段の行為と同じ。
チョコラータはわざと酷い台詞を選んで罵倒し、それで彼女を痛めつけて、自分を煽る。

けれど今夜の彼は時々、弱気な言葉も見せた。

「私に嫌気がさしたか?違う男の所に行ってもいいんだぞ。もし、行ける先があるならの話だがな」

「そんなこと、しない、です」

抽送の合間に名前が苦しい息で答えると、上から満足そうな嘲笑が返ってくる。

「そうだろう、お前は私がいないと食べていくこともできやしないからな!」

がくがくと身体を激しく揺らされて、名前はもう返事もできない。


征服欲を満たした様子のチョコラータは、行為の後も暫く彼女を離さず、そしてそのまま目を瞑って寝てしまった。

寝入り際で意識の曖昧な彼は、彼女の身体に腕を絡ませ、いつになく穏やかな寝顔を見せる。

本当は名前も彼の背に手を回し、愛情いっぱいに抱きしめたいが、それをぐっと堪えて心の中に留めておく。

嫉妬心を刺激することで彼の本音を引き出せるのなら、これくらいの我慢は必要なのだ。

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