なれそめ

【日記で知り合う】
〈エレン〉元々違うところで綴っていたんだけど、兵長と同じサイトに日記を移した。オレが移転させてすぐに兵長もあそこに来たんだったと思う。
その日記を見て気に入ったオレは、他のいくつかの日記と一緒に毎日のように兵長の日記を見に行ってた。お互いになりきりでの相手がいたからそういう意味では意識しないでたまに茶会で会ったり、私信送ったりしてたな。


〈リヴァイ〉某サイトで日記を持っていた。エレンの事も日記を見て知った。……それから、茶会なんかで出くわしたりなんかして、繋がりを持った。この頃は、エレンに恋愛感情なんかは全く無かった。


【お互いの相談相手に】
〈エレン〉暫くしてお互いに相手との本体交流の悩みを持つようになって…それで二人で茶室で話すことに。とにかく色んな話をして、聞いて…その時に初めて連絡先を交換して個人的に話すようになった。
オレの話を聞いて意見してくれたり、励ましてくれたり…上辺だけで無いその言葉にとても支えられた。弱音を吐いた時は気合入れてくれたっけ(笑)
オレの変に遠慮がちな所も理解してくれて、俺が直してやるって協力もしてくれた。


〈リヴァイ〉当時のなりきりでの相手が本体交流を希望して来たんだが、俺はそいつと本体で上手くやれる気が全くしなかった。なりきりは気が合ったんだがな。
…という訳で、元々本体交流メインでやっていた(日記とかに本体交流がある事を載せていた)エレンに相談に乗ってくれという形でやり取りをし始めた。
エレンは考え方が大人びていたので、意見もとても勉強になった。真剣に話を聞いて意見してくれて、とても頼りにしていた。…当時の俺では気付かなかったが…本当に、心の底からエレンを頼りにしていた。…後から気付いたが。
だが、恋愛感情は無かった。俺はエレンがその当時の相手を思う姿勢をとても美しいと思っていて、好感を持っていた。応援したい、…ファンだった、とか、そういう感じだろうか。だからエレンから相手との仲睦まじい報告があったりすると、とても嬉しく思った。



【気持ちの変化】
〈エレン〉オレにとって決定的な出来事があって、その相談していた相手への気持ちを吹っ切る決意が出来た。
そして兵長も色々あって…その相手を吹っ切る気持ちになったみたいだった。
オレは相手へもそれを伝えて、取り敢えずは落ち着くことが出来たけど兵長の方はかなり大変だったように思う。
この時には兵長の真っ直ぐで嘘をつかないところだったり、強くていつだって前を向いている姿と繊細で脆い部分を合わせ持つところだったりに人として惹かれてた。
こんなに素敵な人がなんで笑っていないのだろう、と思ったりして…。その内に自分だったら大切にするのにって気持ちに変わっていったんだと思う。すぐには気付かなかったけど。


〈リヴァイ〉俺もある日決定的な出来事があって、俺は相手と本体交流どころかなりきりとしての関係でも別れようと決めた。
ところが、これが何故か簡単に別れて貰えなかった。下手をすると周りにまで迷惑を掛けそうな勢いだったので、慎重に動かざるを得なかった。そしてここまで相手を追い込んだ自分にも責任があると、俺はとても申し訳なく思っていた。
この決定的な出来事があった日、俺はその事を誰にも言えなかった。でも耐えられなくて、何故かエレンに連絡をしていた。他にも事情を知っている奴はいた、でも俺はエレンを選んだんだ。……エレンに話したと言ってもとても一方的で、エレンにとっては訳のわからない連絡だったハズだ。内容は話せなかった、だが辛くて…鳩を飛ばした。『ちょっと頭ン中がグチャグチャで、何もしない事に耐えられなくて送った。これを送ったら立ち直る、返事は要らないし見なくても良いから捨ててくれ。むしろ訳わかんねえだろうし忘れてくれ』みてえな、内容も無い本当に最凶の迷惑メールだった。今こうして書いてて自分で震える。
この時俺はエレンへの気持ちを自覚し始めたのだと思う。ただの相談相手じゃない。自分の心がギリギリまで追い詰められた時…そういう時に、人に頼れず自分で解決しようと思う性格だった自分が、エレンには頼った。あの日を境に、多分俺の気持ちは変わって行ったんだろう。



【告白】
〈エレン〉少し経って、それまでよりも兵長とのやりとりが増えていった。それがオレにとって大切なものにもなった。その中で時折思わせぶりな言動をする兵長に狼狽えるオレ。お互いに前の相手を吹っ切れたとはいえどう受け取っていいのかわからず、悩んだりもして。
…普段なら好きになったらかなりガツガツ突っ込んでいけるタイプなんだけど、結構な失恋のあとで怖くなってたのかもしれない。兵長がまた思わせぶりなことを言ってきた時に『兵長はどう思ってるんですか…?』って聞いてみた。今思うと情けない。
そこで返ってきた答えを聞いてようやく『自分とのことを前向きに考えて欲しい』と伝えることが出来た。その時初めて兵長からキスされて…一緒に眠った。久しぶりによく眠れたのを覚えてる。
それからお互いにバタバタしつつ前の相手とは背後だけでなくなりきりでの関係も解消した。兵長の方は体調崩したりもしてたし、それ以外にも色々と心配なこともあって話し合いになったりもした。…その頃はまだ今みたいに上手く話せないこともあったけど、出来るだけ分かってもらえるようには話したつもりだ。


〈リヴァイ〉少し経って、俺はエレンが当時の相手と別れた事を知った。……その時は、珍しく泣いたのを覚えている。
その時すでに、エレンに対して恋愛感情が芽生え始めてはいた…が、それとこれとは別だ。俺はずっとずっと、エレンの事を心の底から応援していた。相手を一途に思う姿勢を美しいと思っていた、だからそのエレンの想いが潰えた事に、悲しいとか寂しいなんて簡単な言葉じゃ言い表せないような気持ちが込み上げたんだ。
だが同時に、俺はもうエレンに想いを伝えても許されるという事だろうか、とも思った。でも、俺も今思うと随分臆病になってたな…。結局可哀想な新兵は、俺に散々誘惑されて告白させられたって訳だ。我ながら狡い大人だと思うがな。
……初めてアイツにキスした時の事を、昨日のように思い出せる。なりきりも本体恋愛もひっくるめて…ずっと俺が探していのはこいつだったんだと、そう思った。



【初デート】
〈エレン〉やっと落ち着いた頃、ようやく兵長と初めて会える日になった。付き合う前から遊ぼうと決めていた日…この時をお互いに指折り数えて待っていた。初めて会う時ってやっぱり緊張するよな…お腹痛くなってきてそれを伝えたら兵長に笑われたっけ。
美味しいご飯を二人でわけて食べて、兵長の好きなケーキ屋さんのカップケーキをテイクアウトして、美味しいって言いながら一緒に食べた。夜は抱き合って眠って…初めてキスした。オレは酒臭かったらしく兵長は気持ち悪かったらしい(笑)今は気をつけてるから大丈夫なハズ……。
1日目も2日目も幸せな時間を過ごせて、この人とずっと一緒にいたいなって改めて思ったんだ。


〈リヴァイ〉付き合う事になる前からずっと楽しみにしていた日だったんだが、これが恋人としての初デートになるとは思っていなかったな(苦笑)
俺は誰かに会うのは基本的に初対面でも全く緊張も何もしねえタイプなんだが、意識している奴にだけは違った。意識している奴にだけは、かなり緊張するタイプだった。しかも、無言になる(素っ気なく見える)とか無表情になる(冷たく見える)とか、そういう緊張の仕方をするタイプだった…手に負えねえ…。
この日もかなり緊張していた。が、エレンが「お腹痛くなって来た…」とか直前に連絡くれてたのに笑って、普通よりはリラックスした。(…してたんだエレン、あれでも!)
そして美味いもん食って油断させて、夜はエレンも食ってやる気満々で色々と仕込んで来た(……)
もうこの時点でエレンを手放すつもりは無かったんでな。真綿で首を絞めるように、優しく罠にハメ殺しする気でいた(笑顔)



オレたちの馴れ初めはちょっと珍しいかもしれない。出逢えたことにも、こうして一緒に過ごせることにもとても感謝してる。
これから先も少しずつ、一歩ずつ積み重ねていけたらいいな。


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