Diary-Levi- | ナノ

真面目な話


エレン以上に便乗に遅れたが、やっと時間が取れたんで俺も書かせて貰おうと思う。
……長くなるんでハッキリ言っておすすめしないが、少なくとも、改めてエレンには読んでおいて欲しいとこだな(苦笑)




俺はガキの頃から、パートナーとする相手に対して性別での区別は無かった。つまりバイだったという事だ。
俺ももう良い歳なんで、男も女も何人かは付き合った。だが、かなり早い段階で俺はパートナーから男を外した。それは性的に付き合えないという意味ではなく、俺の理想とする生涯の伴侶というものに、男では不可能に近いだろうと感じた為だ。 

恐らくそうなったのは俺の生い立ちや家族構成にも問題があるのだろうが、まあ…それは置いておくとして。



今の俺の家族(として認識している人間)は、俺がカムしても別段何もないだろう。元々放任主義の家なんでな…行動を自由にされ、またそこで発生した責任なんかは各自で取るというもんだ。そしてそれは幸い、俺の性格に合っていた。
現時点で別段カムしている訳ではないが、カムしろというなら特に言いにくい状況では無い。カムしていないのは、俺の場合カムしたくないという訳じゃなく、俺の中でカムするとかしないとかってのがどうでも良い事だから特に手をつけていない、という感じだ。

どうでも良い、というのはどういう事か。それは俺の中で「周りにパートナーとの仲を認めて貰いたい」という意識が別段無いという事だ。
まあ、そりゃあ一般的には認められねえより認められた方が良いのかもしんねえが…俺にとっては、周りなんざどうだって良いんだ。例えば後ろ指さされようが、気味悪がられようが、認められなかろうが、逆に認められても…はっきり言ってそんなもんは一切関係ねえ。大切なのは、俺達が好き合ってるって事実だけだ。

だってそうだろ?認められたから何か変わるかっつったら、俺からパートナーへの気持ちに何か変化がある訳じゃねえ。逆に認められなきゃ、もしくは周りに悪意を突きつけられたら相手を諦められるのか?…そんなもんでどうにかなる絆なら俺はハナから要らねえ。俺は妥協でたった1人のパートナーは決めない。妥協するぐらいなら、独りで構わねえ(むしろ楽)という思考だ。こういう考えをする俺は自分を自己中心的な考えの塊だと思っているが。



だがこれは俺の考えであって、もちろん他人に同じ考えを強要なんざするもんじゃねえ。
……まあ、だからこそ…パートナーを見つけるっつーのは大変な訳だが。

俺の中で「パートナーを見つける」ってのは、譲れない部分を妥協しない…つまり根本的な部分では俺と同じか似たような考えを持っていなければ難しいという事になるが…そういった奴を見つけるって事になる。
そして更に難しいのは、見つけた相手に自分を同じように好いて貰う事。当然だが、やっと相手を見つけても俺を好きになってくれるとは限らねえし、好きになって貰えなくてもそれは相手が選ぶ事だから仕方がねえ。

こういう考えの俺がエレンに出逢えて、更に相思相愛となれた事は……正に俺が今まで生きて来て最大最高の奇跡と言える。



エレンは、俺の性格をもう把握出来ていると思う。だから、敢えて言った事はねえが…。
普通の奴なら、相手の事を考えるといった時……『同性同士で付き合うから』『周囲から受け入れられにくいから』とか、そういった事でもちろん悩むと思う。
だが、俺達は出逢った時から既に『そういった付き合い』は初めてじゃなかった。そして互いの性格なんかをある程度理解した上で付き合い始めた。…つまり、自分達が付き合うという事がどういう事なのか互いに理解した上で付き合ったんだ。

それは『今、互いが好きだから付き合う』とか、そういった刹那的な考えじゃねえ。先を見越して、付き合う上でどういう障害があるか、または幸福があるかを考えて、全てを総合した結果相手をパートナーに選ぶ事が最良だと互いが決断したという事だ。

そこには、生きにくい世の中だから後々やっぱり付き合いをやめる……なんてもんは含まれていない。
誰しもが考えてすぐブチ当たるような壁への対処法を頭ン中でイメトレ出来てねえ状態の奴との付き合いに踏み切る選択は、少なくとも俺には無かった。例えエレンが初心者だったにしろ、俺の性格から言って付き合う前にこういう話をして選択をさせてからの付き合いになっちまっただろうと思う。
世の中には人やカップルによって色んな事情があって、色んな出会いや状況があると思うが……あくまで俺の場合は、その辺をすっ飛ばせる経験者としか付き合うのが難しかった。余裕が無くて申し訳ないが、こちとらもう良い歳ってのが大きい。




まだまだ色々な問題はあるとはいえパートナー制度が進むのは喜ばしい事だ。同性で結婚という制度が適用されないこの国では、養子制度を使わなければあらゆる権利、財産の相続は難しい。
……大切な相手が突然手術を要した場合に今の自分が手術の同意書を書けるか?どうしても金が必要になった時に連帯保証人になれるか?どこかの施設や病院に入る際の書類手続きが出来るか?……答えはまずのところ全てNOだ。
歳食った後に自分に何かがあって、相手に金を残せるか?物はどうだ?……例え自分が遺書に残したとしても難しいだろう。血族が欲しがれば法的に何の繋がりも無い同性のパートナーは負けてしまう。金も生きている間に譲渡するには時間が掛かる、税金が掛かって来るしな。…そりゃ、すり抜ける方法もいくらでもあるだろうが。
真っ当なやり方でやるには、全てが難しい。それが法的な保障が何も無いという事だ。
金だとか物だとか…字面にすれば美しくないかもしれねえが、現実的に具体的な事を言えばそういう面も大きい。一生を共にすると誓うという事、法で結ばれるという事。それは精神面だけではなく経済面、社会面でも相手を助けられる力となり得る事だ。

今はまだ若くて動けるから「金なんか、物なんかどうでもいい、そんな物が欲しいわけじゃない」と思えるかもしれない。だが、一生というスパンで見た時、それは綺麗ごとになっちまう気がする。
考えてもみろ、「気がついたら80歳も超えてた。今まで好きって気持ちだけで一緒にいたけど、死んだり病気で動けなくなったから、もうお前には何もしてやれない。お前も同じような歳で今から新しい相手探すなんてのも難しいだろうし、働く事も出来ねえだろうし大変だとは思うけど、何も残せる訳じゃないし俺がいなくなった後は自分1人で何とか頑張ってな」じゃ、あんまり無責任じゃねえか?…ただでさえ、生きにくい世の中で自分をパートナーとしてくれた相手に対して。

俺が「残す」事に拘るのは、エレンをパートナーとして何事も無く生き抜いた時、十中八九俺がアイツを「置いて行く」側になるからだ。
アイツより年上で、身体も強くない。エレンはそんな俺をパートナーに選んだ時点で、「置いて行かれる」という事を受け入れなければならなくなる。俺はアイツにそれを強いる事になる可能性が高いという事だ。そしてそれは回避出来ない。生き物は、必ず皆平等にいつか死ぬんだからな。
……それならせめて、そんな俺を選んでくれたアイツが少しでも苦労しねえように…何か残してやりてえと思うじゃねえか。

よく「責任取って結婚してよ」なんて言葉があるが、責任取るってのは保障を与えるって事だと俺は思う。
俺にとってパートナーを決めるって事は「そいつの未来に責任を取ると覚悟を決めた」という事だ。だからエレンに何かあった時には、俺は全力を持って助けるし、何かあって俺が直接の力になれなくなった時は、俺の持てる力の継承を出来る限りエレンにする。それがパートナー制度でやりやすくなるってんなら、歓迎以外の何でもねえよな。
どうかこの制度が良い方向に躍進してくれる事を願う。

ああ、それと。パートナー制度が無くてもある程度俺はアイツに色々残す算段はあった。……エレンとなら、そういう事も上手くやりくりして行けると思ったしな。しかしパートナー制度がもっともっと良くなって行けば、そういう事がどんどんやりやすくなるから俺的には是非推進したい…という事だ。……歳は取りたくねえもんだな。変な事にばっか頭が行くようになりやがる。



……と、まあこれはあくまで俺の個人的な考えだ。違う考えの奴もたくさんいて当たり前の事だ、もちろんエレンも含めてな。
だが俺は、最終的には個人の「幸せ」を探求すれば良いと思ってる。幸せは人それぞれだ、どんな形であれそれは他人には推し量れない。
誰しも自分の「幸せ」を、自信を持って追って行けば良いと…俺は思う。




いつか、エレンと一つ屋根の下で暮らしたい。
まだ予定は立っていねえが、それは俺の夢だ。毎日アイツと一緒に眠りに落ちたいと思う。
そう思わせてくれんのは、エレンしかいねえんだ。アイツの存在に、俺は心の底から感謝している。

2015/07/17 20:18
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