染岡&吹雪&アツヤ家族パロ
アツヤがお子様です。
おkな方のみご覧ください。








「……!!!??!!」
「そうだよね〜驚いちゃうよね〜」
「ていうか、なんでお前はそんなに落ち着いていられるんだよ!!!」
「うりゅしゃいぞ!そめおか!」
「・・・・・・!!!(カッチーン)」



二人の子育て大作戦



春休み
うららかな春の光が降り注ぐ穏やかな日。
それでもここはまだ寒かった。
俺、染岡竜吾は今、どういうわけか北海道にいる。

ことの始まりは今朝、まだ日も上がらない午前にかかってきた電話からだった。

「もしもし?染岡くん?」

電話口から穏やかな声が聞こえる。
寝ぼけ眼のまま俺は聞き覚えのある声の主の名を呼んだ。

「吹雪?」

吹雪と呼ばれた電話越しの相手は「久しぶりだね」とぼんやりといった。
今、あいつは電話口でやわらかく微笑んでいるんだろうな。
覚えのある微笑を思い出して暖かな気持ちになる。

「どうした?こんな時間に」
「うん…ごめんね…迷惑だと思ったんだけど…」
「そんなのは別にいいけどよ。何かあったのか?」

俺が聞くと、吹雪は「う〜ん…」と困ったようにうなっている。

「驚かないでよ?」
「なんだよ。早く言えよ」

おれが急かすと、吹雪は一息置いて言った。

「僕…子供ができちゃったんだ」



その後の俺は想像するに易しい。
ご近所様も寝静まっている夜中に大絶叫し、起きてきたおふくろに怒鳴られ、
「とにかく今日北海道に行くから落ち着いて待ってろ!!」と俺のほうこそ落ち着けよと言われそうな勢いで電話を切った。
「違うんだ染岡くん!」なんて吹雪の声が電話口から聞こえた気がしたがお構い無しだ。
その後、すぐさま携帯で飛行機のチケットを予約し、
朝も早くに瞳子監督に「吹雪の一大事なんで、今日の練習休みます!!」と荒々しく告げ、朝一番の飛行機で北海道に向かった。

飛行機に乗っている間は気が気でなかった。
吹雪が俺の知らない誰かとの間に子供…あいつ大人になっちまったのか…
そういえばあいつモテるもんな…忘れてたけど…
しかし、こんなに若くして子供なんか出来てこれから一体どうするんだろう…
そんな事を考えながら青くなったり赤くなったり。
はたから見た俺は相当に気持ち悪かったと思う。

そして午前8時20分 千歳空港

「そめおかく〜ん!」

空港を出るや否や今朝から俺を驚かせた人物が手を振ってこちらにかけてきた。
空港に着く時間も言っていなかったのに…よく分かったな。
と、内心驚きながら「おう。」と俺も手を上げる。

「染岡君のことだから朝一の飛行機で来てくれると思ってたんだ。」

俺を見上げてふんわり笑う。
こいつの笑顔は本当に何も変わっていない。
妙に俺の行動を読んでたりする所も…

「そうだよ。驚きすぎて慌てて来たんだっつーの。」

といってぐりぐりを頭を撫でる。
すると吹雪はくすぐったそうに「えへへ」と笑った。

「で、子供が出来たってどういうことだ?」

手を離して吹雪をきっと睨む。
どういう理由があったか知らないが、この歳で、子供を作るなんて…
いくら性に興味のあるお年頃でも命ってものを軽んじすぎている。
返答によっちゃ容赦しないぞ。と身構えていたのだが…

「そんなにけっそうかえんなよしょめおか!」

吹雪の後ろからトーンの高い声がする。
吹雪を見れば困ったように微笑んでいる。

「子供っていうのはね…この子なんだ」

そういって吹雪がさっと横に避けると、そこに居たのは…

「!!!!!!???!?!!」

吹雪をそのままミニチュアにしたような桃色の髪で逆毛の小さな男の子だった。




*******************




「いやぁ〜本当にびっくりしたよー」

言いながら吹雪がにこにこと笑う。
全然びっくりしていないように見えるのは俺だけか?

あの後、俺はそこが空港と言うことも忘れ大絶叫し、ミニチュア吹雪に「うりゅさいぞ!そめおか!!」なんて言われて、
ここじゃあれだからと吹雪の家にお邪魔しているわけだ。



「この子、朝起きたらベッドで寝てたんだ。」

ベッドに腰掛けてミニチュア吹雪の頭を撫でる。
するとミニチュアは「やめろよしろう!」と恥ずかしそうに頭を振った。

「僕も慌てたもんだから、電話で子供が出来たなんて言っちゃって…誤解させてゴメンね。」

吹雪が困ったように言う。

「イヤ…俺もろくに話も聞かないで電話切っちまって悪かったな。」

そういうと吹雪はふわりと笑って「ううん」と言った。

「しかし、不思議な事があるもんだな…朝起きたらいきなり人がベッドで寝てるなんて…」

そういってミニチュアを見つめる。
するとミニチュアもきっとこちらを睨んできた。

「こいつ妖怪かなんかじゃねぇの?」

思ったことを口にした瞬間、俺のみぞおちに激痛が走る。
何事かと思って見て見れば、ミニチュアの足が見事に俺の腹にクリーンヒットしていた。
むせて咳きこんでいる俺にミニチュアは怒りを露にしながら言った。

「ふじゃけんじゃねーぞしょめおか!!おれはアツヤだ!!」

アツヤ…??

聞き覚えのあるその名前。
吹雪の方を見ると、眉をハの字にして笑っている。

「この子、本当にあのアツヤみたいなんだ。」

吹雪の言葉を聴いて、俺は腹が痛いのも忘れてぽかんとアツヤと名乗ったミニチュアを見つめた。






「これが僕で、こっちがアツヤ」

吹雪が古いアルバムを出してきて写真を指差す。
同じ顔の子供が二人、両親に挟まれて幸せそうに笑っている。
少し物悲しい気持ちになったが、俺が顔に出せば吹雪に気を使わせると思ったので、なるべく平静を装う。
そして、吹雪がアツヤだと言った少年と、先ほど俺の腹に見事なゴールを決めたアツヤ少年を見比べれば、頭の先から足の先まで、見事に写真に写った少年そのものだった。

「どうして…アツヤと僕はひとつになったはずなのに…アツヤは僕のこと怒ってるの…?」

辛そうに吹雪が呟く。
その姿を見て俺は何も言えない不器用な自分を呪った。
アツヤも心配そうに吹雪を見つめている。
沈黙が俺たちをつつむ。

このままではダメだ!

そう思った俺は、吹雪とアツヤの手を取り大声で言った。

「よし!お前ら!!サッカーするぞ!!」




*******************




「うぉぉおお!!!行くぞアツヤぁあああああ!!!」
「こい!!しょめおかあああああぁあああ!!!」

どっかーん!と見事な音をさせてボールがゴールに突き刺さる。
俺とアツヤは「ゴオオォオオオオォル!!」と叫びながら走り回る。

有無を言わさず連れてきたのは、吹雪の自宅近くにある大きめの公園だ。
総合運動公園のような所で、サッカーゴールのほかにテニスコートや野球グラウンドがある。
サッカーコートを見つけたとたん走り出す俺とアツヤ。
吹雪はそんな俺たちを見守るようにベンチに腰掛けた。
そして、今に至る。

「しょめおか!もっかい!もっかいわいばーんぶりじゃーどだ!」

そういってくいくいと服の端を掴んでアツヤが言う。
俺も「おう!ばてんじゃねーぞ!」と笑ってボールを持って走り出す。

「「ワイバーン・ぶりじゃーど!!!」」

どっかーん!!とまたもいい音をさせてゴールに突き刺さる。
「ゴォオオオオォル!!」
ハイタッチをかまして喜ぶ。

二人わいわいと騒いでいれば、どこからか視線を感じたので不意にそちらを向く。
すると、数人の子供たちがこちらをじっと見ている。

先ほどから、どかんどかんとかなり騒がしかったので、公園内で遊んでいた子供たちが集まってきたようだ。

手招きをしてやれば嬉しそうにこちらに寄ってきた。


「ぼくもまぜてよ〜」
「ぼくもさっかーうまいよ」
「わたしも〜」

わらわらとアツヤの周りに子供たちの輪ができる。

「よーーーし!じゃあちーむにわかれてしあいしよーじぇ!」

アツヤが嬉しそうに笑って言った。

微笑ましいその光景に俺は眼を細めて、吹雪のいるベンチに歩いた。


「お疲れ様。」


俺がベンチに腰かけると同時に吹雪がスポーツドリンクを差し出す。
「サンキュ」と言って受け取ると、「いいえ」とふわりと笑う。


「アツヤ…楽しそうだね…」


きゃあきゃあと走り回っている子供たちを見つめて吹雪がいう。
その横顔はどこか幸せそうだった。


「なぁ…吹雪…」


俺が呼びかければ、ふわり笑いながらこちらを向く吹雪。


「お前は…アツヤが怒っているのかって言ってたけどよ…」

吹雪をまっすぐに見つめる。
吹雪も俺から目を離さない。


「あんなに楽しそうに笑ってるやつが、怒ってるわけないだろ。」
「…………」
「お前は、アツヤとひとつになったことで負い目を感じてんのかも知れねぇけど…」
「……うん…」
「アツヤは、そんなことで怒るようなやつじゃねぇだろ」
「………でも…」
「もうすこし、アツヤの事信じてやれよ。」
「…………!」

俺がそういうと吹雪はただでさえ大きな目をさらに見開いて俺を見つめた。

俺はこれ以上こいつに何を言ってやればいいか分からなくて
ぐしゃぐしゃと吹雪の頭を撫でた。


「おーーーい!しょめおかー!しろー!!」


小さな体でめいっぱい手を振ってアツヤが俺たちを呼んだ。


「さっかーしよーぜーーー!!」

満点の笑顔で言った。


「ほら、呼んでるぞ」
「うん」
「俺たちのコンビネーション見せてやろうぜ!」
「うん!」


そういって笑った吹雪と一緒に俺は駈け出した。




*******************




深夜。不意に目が覚めた。

結局あの後は周りが暗くなるまで遊んで、くたくたになって吹雪の家に帰ってきて
飯食って風呂入ったらそのまま寝てしまったのだ。

隣で寝ているはずのアツヤと吹雪に布団をかけ直してやろうと横を見ると


「お前…アツヤ?」
「よう染岡。ずいぶん早起きだな。」


俺たちと同い年くらいのアツヤが起き上がって吹雪のことを見つめていた。


「こいつさ、最近ずっと泣いてたんだぜ」


そういってアツヤは隣で気持ちよさそうに眠る吹雪の頭を撫でた。


「オレとひとつになって、お前たちと離れた後、こいつすっげぇ寂しがってさ…負い目…感じちゃったりなんかしちゃってさ…」

アツヤ、染岡くん、キャプテン…ってずっと泣いてんの。とアツヤが呟く。

「オレ、心配でさ…こうしてここに来たんだけど…」

吹雪から手を離しておれの方を見上げる。


「もう大丈夫だな!」

そういってにやりと笑った。


「どういうことだ?」
「ん?もう負い目は感じないってこと!」


アツヤは満足そうに言うが俺には訳がわからなかった。


「やっぱりお前はすごいやつだよ!一瞬で士朗の不安をふきとばしちまったんだ!」


そういってバシバシとおれの背中を叩く。
俺はむせながらアツヤを睨んだ。
そんな俺を見てアツヤはへへっと笑うとふぅ〜っと息をついた。


「これでオレは心置きなく帰れるよ」


そういってほほ笑んだアツヤを見れば、足方が透けていた。


「オイ!!アツヤお前…」


あわてた俺はがっとアツヤの肩をつかむ。
するとアツヤはこちらをじっと見つめて


「久しぶりのワイバーンブリザード最高だったぜ」


ニッと笑うとアツヤはすぅっと消えていった。




*******************




「あれ…?アツヤ…?」


むにむにと吹雪が目を覚ます。
あの不思議なできごとから眠れなかった俺は、寝起きの吹雪の頭を撫でる。


「あいつは自分の帰るべき場所に帰って行ったよ…」


俺が言うと吹雪は泣きそうな顔をして俯いてしまう。


「あいつ、言ってたぜ…お前が泣いてばかりで心配だから来たんだって」


吹雪の肩が小さく震えている。
俺は吹雪の頭を撫でつづけた。


「あいつのためにもお前はいつもみたいにぼんやり笑ってろ!」


バシッと吹雪の頭を叩く。
すると吹雪は目に涙をいっぱいためながら


「もう…相変わらず乱暴だね」


と言って笑った。




*******************




「わざわざ来てくれて本当にありがとう」


同日、千歳空港。
俺は帰省のため、空港にいた。


「いや、久しぶりにお前とサッカーできて楽しかったぜ」


それと、アツヤともな


そういうと吹雪は満足そうに笑って「僕も」と笑った。


「13時20分発東京行きにご搭乗のお客様は3番搭乗口にお集まりください」


アナウンスが聞こえて、もう北海道ともお別れだと告げる。


「じゃあな。また来るよ」

俺がそう言って手を挙げると


「今度はぼくがそっちに遊びに行くよ。キャプテンや、豪炎寺くんとも会いたいしね」


そう言って笑う。


お前はずっとそうやってぼんやり笑っていろよ。
そう思っても口には出さずに手を振って飛行機に搭乗する。

自分の席に座り、窓の外を眺めてここ2日間の不思議な出来事に思いをはせる。
全くばたばたと忙しい2日間だったけど…
それ以上に暖かな、楽しい時間だった。
こんな気持ちになるのなら俺も早く子供がほしいな…
と、柄でもないことを考えていた。


すると、不意に携帯が鳴り響く。
見ると、ディスプレイには「吹雪 士朗」の文字が
忘れ物でもしたんだろうかと携帯を開ければ


「本当にありがとう染岡くん。染岡くん大好き!!」


とだけ書いてあるメールだった。


俺はどうにもこうにも恥ずかしくなって、返信もせず窓の外を見つめた。





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染岡くんはいいお父さんになると思います。

そして…私はイナイレ2クリアしていないので(汗)
吹雪さんとアツヤさんがどうなったのかよく分からないのですが(死)
ひとつになっていたらいいなぁと思いつつ、ひとつになったら後の吹雪はこんな感じかしらと
思いをはせて書きました。
なんか…本当にすみません…!!!!!!!

本当は円堂さんと一緒で吹雪さんも女の子にしてしまおうかと思っていたのですが…
なんだか踏み切れずに男の子のままです…

チンピラ(死語)に絡まれている女の子円堂さんと女の子吹雪さんを豪炎寺と染岡が助けに来る話がすごく書きたいです(ボソリ)






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