「円堂くんご指名だょ〜」
「え…?」
「どうしたの?今日、ずっとぼんやりしてる…」
「あ…ごめん…」




オータムフェスタ




11月最初の土曜日。
オレ、円堂守が通う公立高校は文化祭初日を迎えていた。


「せ〜のっ…」


「「「お帰りなさいませご主人様!」」」


オレたちのクラスの出し物は、多数決の結果、メイド&執事喫茶で落ち着いた。

最初は乗り気でなかった生徒も、いざ当日となるとノリノリで接客なんかしている。

かくいうオレも、最初はメイド服なんか来たくないと散々ごねたが、
いざ着てみるとなかなか悪くないもので…


「お帰りなさいませご主人様!」


何て、接客してみたりしている。
お客さんの入りも上々だ。
それと言うのも…


「お嬢様。こちら、本日は特別サービスを行っておりまして…」


そうなのだ。
何かと色物好きの我がクラス。
只のメイド&執事喫茶ではつまらないと、特別企画というものを考案したのだ。


「こちらの喫茶店には、各部活動のプロフェッショナル、
すなわちエース級のメイドと執事が揃っております。
そこで、僭越ながらお嬢様方に勝負をして頂いて、
お嬢様方が勝利されましたら、お食事代を免除させて頂く。
そういう趣向の企画でございます。」


今、三人組の女子生徒に丁寧に説明したのは、バスケ部で救世主と言われている生徒だ。

そうなのだ我が1年11組は、なぜかやたらに運動神経のいいやつらが集まっている。
それこそ、各部活のエース級の人達が…

そこで、誰が言いだしたのか、各部活を指定して勝負をして、
勝ったらお食事代をタダにしよう!と、そういう流れになったのだ。

メイドさんや執事さんと3on3バスケ対決ができる!バッティング対決ができる!
と一風変わったこの企画に、意外や意外、お客さんが食い付いたのだった。


「円堂!うちらをご指名やで!」


元気いっぱいな声がオレを呼ぶ。
声がする方を見れば、リカがサッカーボールを小脇に抱えて、手を大きく振っている。

各部活でスポーツ対決。
サッカー部からは、オレとリカ…そして、豪炎寺が選ばれた。


「今行く!」


と、オレも手を振り返して、駆け出す。

リカの隣を見れば、執事姿の豪炎寺が、スラックスのポケットに手を突っ込んで、めんどくさそうに歩いている。

その姿を見た瞬間、オレの心臓は早鐘のようにうるさくなり始める。
この、豪炎寺にだけ感じる恥ずかしいような、暖かいような、苦しいような、
そんな不思議な気持ちを恋だと自覚した瞬間。
オレは豪炎寺とまともに顔も合わせられなくなってしまった。

そいえば、この一週間…話もしてないな…

ぼんやり豪炎寺の方を見れば、いつもはばっちりセットしてあるツンツン頭が、
ゆるく崩されていて、なんだか大人っぽい。


かっこいい…


目が離せなくて、じっと豪炎寺を見つめていると、視線に気が付いたのか、豪炎
寺がこちらに振り向く。
途端、絡み合う視線。


(わあぁぁぁ!!)


かあぁっと顔が熱くなるのが分かって、オレはばっと視線を外して、俯いて固まってしまった。


この一週間、オレは本当にダメダメだった。
豪炎寺と何とか話をしようとしても、豪炎寺に見つめられると、心臓がドキドキ
と高鳴って、どうしようもなくなって、足が勝手に逃げてしまうのだ。

こんな態度を取って、豪炎寺はきっと傷付いてる…
ちゃんと話して謝らないと…
だけど…どうやって?
ドキドキして話もできないのに…
まして、話ができたとしても、何を話せばいい?
豪炎寺に好きだと、豪炎寺が好きで好きで、まともに話ができなかったんだと、
そう伝えればいいのだろうか?
そんな事、できる訳がない…
オレは、オレは、元は男の子なんだから…

メイド服の裾をぎゅーっと握り締める。
俯いた目に震えるオレの手が写る。

ふいに、ぽんとオレの頭に暖かい感触が降りてくる。
何事かと頭を上げようとした、その前に、頭の上から声が振ってきた。


「行くぞ」


どきりと心臓が高鳴る。
頭にある感触が手だと分かって、その手が優しく二、三度オレの頭を撫でる。
ふっと手が離れて、変な淋しさにさいなまれつつ、頭を上げれば、大好きなあの人の後ろ姿が。
その後ろ姿は、そのままこちらを振り返らずに教室の外に消えていった。

オレは、まだ暖かい感触の残る頭に触れる。


オレの事、心配して声をかけてくれたのかな?
オレは、この一週間きっとずっとお前を傷つけているのに…
どこまでも優しい豪炎寺。
ああ…やっぱり言えないよ…
優しいお前は、オレの気持ちを聞いたらきっと困ってしまう。
大好きなお前を、困らせてしまうオレの気持ちなんて…


「円堂?大丈夫?」


ぽんと肩を叩かれて、はっとそちらを向く。
すると、心配そうな顔で、リカがオレの顔を覗きこんでくる。

オレはずいぶんとぼんやりしていたらしい。
木野や、他のクラスメイトも心配そうにこちらを見ている。


「ごめんごめん!ぼんやりしちゃって…行こうぜ!」


にかっとオレが笑うと、少し安心したようにみんなが笑う。


「よっしゃ!ほな行こう。ゴールキーパー任せたで!円堂!!」


親指を立ててリカが笑う。


「おう!任せとけ!」


オレも、笑って駆け出す。

今から大好きなサッカー。
知らない相手との3on3のサッカー対決なんて、いつもなら燃えない訳がないのに…

どういう訳か、オレの心はもやもやと曇って…


(もぅ…オレ…どうしたら…)


流れそうな涙を堪えて長い廊下を走った。




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短い…!!!!!!!!
そしてまた続くんですか…
もう!管理人 死 ん で し ま え よ ! ! ! ! 
すみませんすみません…!!
もう続き、途中まではかけているのです…!
ですがこう。一回間を置きたいというか、2話に別けたいというか…
管理人ごときがいろいろ考えたりしちゃったわけですよNE!!
続き、近日中にはアップできますので・・・
待ってて下さる方いらしたらすみません!
ほんとに!いそいで書き上げますのでーーーーーー!!!!






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