「豪炎寺!今日の放課後だけど…」
「わるい…ちょっと忙しい…」
「あ…うん…」




女の子の気持ち




最近豪炎寺が冷たい。
そう思い始めたのは、夏を目前に感じさせる梅雨の真っ只中だった。
窓越しにしとしとと静かに降る雨を見ながらオレ、円堂守は盛大にため息をついた。


(理由を聞こうとしても全然話してくれないしなぁ…)


斜め前の席の豪炎寺を見つめる。
真面目にノートを取っているのか、その頭が黒板からノートに目をやる度に上下に揺れる。


(それどころか何か避けられてるし…)


じとっと逆立った銀色の髪を睨む。

ここ数日の豪炎寺の態度ときたら、オレが話しかければ眼を逸らし、
何かしたか?と問えば「何も無い」と冷たく言い放たれ、
一緒に帰ろうぜと誘えば「忙しいから」と足早に教室を出て、話すことはおろか近づくことさえ出来ないでいる。


(前は、なんにもなくても一緒に居てくれてたのになぁ…)


もう一度盛大なため息を吐く。


「円堂!大きなため息だな。退屈しているならこの問題解いてみろ」


ばっちり見られていたらしい。
先生が教科書を丸めてオレを指す。
いきなり先生に当てられて、びっくりしたオレは
「はい!!」と返事すると同時に勢い余って椅子をがたんと倒してしまった。


「何だ円堂。昼寝か〜?」

「いくら次、お前の大好きな体育でも気抜けすぎだぜ?」


クラスの仲のいい男子がからかう。
すると同時に上がる笑い声。
オレは「へへっ」と照れ笑い。
ふと豪炎寺を見ると、ばちりと目が合った。
豪炎寺は一瞬びっくりしたように目を見開くと、わざとらしくばっと目を逸らした。


どうして?


今までなら呆れたように微笑んでくれてたのに。


「どうした円堂?」


ぼさっと突っ立ったままのオレを不思議に思ったのか先生が聞いてくる。
ハッと意識が戻った俺は「すみません!」とアタフタと教科書をめくるが


「…分かりません…」


ずっと豪炎寺のことを考えて授業なんかまともに聞いていなかったから…
…聞いていても数学なんてちんぷんかんぷんなんだけど…
がっくりと肩を落として降参する。

先生は困ったように「ぼんやりしてちゃダメだぞー」と笑った。
お咎めなしで良かった…
しょんぼりと着席しようとすると隣の席の友達が「どんまい!」と声を掛けてくれる。
女の子は優しい。
「ありがとう」と笑ってオレは席に座った。


(豪炎寺も…春休みに買い物に行ったときはあんなに優しかったのに…)


ふとそんなことを思って、オレはまたため息を吐いた。





**************************





3限目の体育、女子はバレーボールだった。
雨が降っていなかったら外でサッカーだったんだけど…
今のこのモヤモヤした気持ちのままサッカーしても楽しめないもんな
バレーボールで良かったかも…
そう思いながら用具を運ぶ。


「円堂くーん!ちょっとこっち手伝ってもらってもいいかなぁ?」


ぼんやりしながらリカと秋とコートで準備をしてた俺に声がかかる。


「どうしたー?」

「バレーのネット、倉庫の2階にあるの。重くて持って降りるの恐いから一緒に持ってもらってもいい?」


ごめんねーと体育倉庫の2階から声がする。

「いいぞー」といいながら倉庫に向かう。
すると、女子が3人くらいでネットを持って狭い階段を降りようとしている所だった。
上に2人、下に1人。
長い間使われていないネットは固まって随分と重そうだった。


「すぐ行くからもうちょっと頑張れ!」


そういってオレは急いで階段を昇ろうとする。
すると


「きゃあああ!」


頭上から大きな叫び声が聞こえた。
何事かと思って見上げれば、下でネットを支えていた女の子がネットの重さに耐えられず足を滑らせたようだ。
バランスを崩してこちらに倒れてくる。


「危ない!!!」


オレはとっさにその女の子を抱きとめた。
が、同じくらいの体格の、しかも勢いのついた人間を支えることなんて到底出来なくて


「うわぁあああああ!」「きゃあああああ!」


二人して階段から滑り落ちる。
どたーんとすごい音をたてて、俺たち二人はネットもろとも階段から落ちてしまった。


「二人とも大丈夫!!?」


上にいた女の子2人が真っ青な顔をしてこちらに掛けて来る。
騒ぎを聞きつけた他の女子たちも心配そうにこちらにやって来た。


「私は大丈夫…でも…円堂君が…」


オレの腕の中で女の子が呟く。

全身をしたたかに打ち付けてあちこち痛かったけど、動けないほどではない。


「オレも大丈夫だよ。怪我がなくてよかった」


そう言って、オレが腕の力をを緩めると、女の子は体を離す。

心配そうにオレの方を覗き込んだその顔は、今にも倒れそうなくらい真っ青だ。
駆けつけてくれた皆も心配そうにこちらを見ている。
「全然大丈夫だって」と、立ち上がろうとしたとき


「った…!!」


足首にこれまで感じたことの無い激痛がはしり、オレは声を上げる事もできずにへにゃりとその場に座り込んでしまった。


「円堂くん!!」


皆がオレに駆け寄る。
オレは油汗を流しながら唸る。
オレの足は一体どうなってしまったのだろうか?


「円堂くん、大丈夫?」


今の騒ぎを聞きつけたのか、コートで準備をしていたはずの秋が心配そうにオレの顔を覗き込む。
オレは声も出せずに、首を横に振る。
その様子を見た秋は、少し考えた後、「とにかく保健室に行きましょう」と言って、俺の腕を肩に回す。
オレの足が少しでも痛くないようにゆっくりと起き上がらせてくれる。
さすが、雷門サッカー部で幾度の苦難を乗り越えた我らがマネージャーだ。
こういう時は本当に頼りになる。


「待って秋!うちも行くわ」


そう言ってリカもオレのもう片方の腕を肩にかけてオレを支えてくれる。
そうして二人に支えられて、オレは何とか立ち上がることが出来た。


「円堂くん…本当にごめんね…私…」


オレが庇った女の子が目に涙を溜めて心配そうにこちらを見る。


「大丈夫だよ。円堂くんはこれくらいじゃへこたれないわ。」


秋がそう言って女の子に微笑む。
秋のこういった気配りは本当にすごいと思う。
相手を安心させて、尚且つオレも勇気付けるように言ってくれたんだ。
オレもこれ以上皆に心配かけないように微笑んで頷く。
それを見て、女の子は堪らなくなったのか、ついに泣き出してしまった。
近くにいた女子がその子に駆け寄り、こちらにさっと目配せをした。

オレは何事かと思ったが、秋は彼女の真意が分かったらしい。
こくりと一つ頷いて「行こう。円堂くん」とオレの足を庇いながら歩き出した。


「ここは私たちに任せて、秋は円堂くんをお願いだって」


秋が微笑みながらさっきの女の子の視線の意味を説明してくれた。
秋といい、あの目配せした子といい、女の子という生き物はすぐに全体を見渡して、上手に動く。
いざという時の度胸だってすごいし…
女の子って本当にすごい。

オレはずきずきと痛む足を引きずりながらそんな事を思った。





**************************





待合室でしょんぼりとうなだれる。
日が傾いて、病院の窓からは真ん丸いお月様が見えていた。


「おばさん、すぐ迎えに来るって。」


付き添いで病院まで来てくれた秋が言った。
どうぞっと言ってオレにジュースを渡してくれて、隣に腰掛ける。


「ありがとう」


とオレはジュースを受け取って紙コップに口をつける。


「骨、折れてなくて良かったね。」


秋が微笑む。


あの後、保健室では手に負えないと言われて、初めて乗る救急車に怯えつつ、病院に搬送された。
診察の結果は足首の靭帯断絶。
所謂、捻挫だった。
なんだ、捻挫かとほっとしたのもつかの間、「捻挫と言っても中等度のものですので、3週間は安静にして頂きます」といわれ、
有無を言わさず診察台に寝かされて、足首をがっちりギプスで固定されてしまった。


「病院なんてめったに来ないから緊張したよ。」


オレが微笑むと、秋もアハハと笑った。

夜の病院はとても静かだ。
お互いに自然と口数が少なくなる。
秋の隣は心地いい。
秋がかもし出す穏やかな雰囲気がそうさせるのか、無言の空間が全く気にならない。
隣にいてくれるだけでなぜか守られているような、そんな気持ちにさせてくれる。
その穏やかな空気にまどろむようにオレはぼんやりと月を眺めていた。


「あのね、円堂くん」


静寂を秋の声が破る


「なんだ?」


その声がやけに神妙だったのでオレは思わず秋のほうを見た。
すると秋はまっすぐにこちらを見つめてこう言った。


「最近、元気が無いのは…豪炎寺くんが原因?」


オレは目を見開いて秋を見つめた。
秋はじっとオレの目を見つめて逸らさない。


本当に…女の子ってすごい…


「秋に隠し事はできないなぁ〜」


オレはへにゃりと微笑んだ。


「最初はさ…優しかったんだ…豪炎寺…」


オレはぽつりと呟く。
秋は「うん」と柔らかな声で相槌を打ってくれる。


「それが…ここ数日で急に冷たくなって…」


最近の豪炎寺の態度を思い出す。


「オレが話しかけてもすぐ向こうに行っちゃうし…部活の時もこっち見てもくれないし…」


話をするにつれて目頭が熱くなってくる。


「オレが何かしたのかって聞こうとするんだけど…目も合わせてくれない…」


どんどん視界がぼやけてくる


「オレ…嫌われちゃったのかなぁ…」


熱い雫がオレの頬を流れた。
つんと鼻の奥が熱くなって流れる涙を抑えることができない。
女の子になって、涙もろくなってしまったのだろうか。
オレの頬を流れる涙はとめどなく溢れてくる。

そんなオレの頭を秋は優しく撫でて、そっと抱きしめてくれた。
ぽんぽんと背中を撫でてくれる秋の手は暖かくて、またオレは泣いてしまった。


「豪炎寺くんが円堂くんを嫌いになるなんてこと絶対に無いわ。」


大丈夫よ。


秋が穏やかに囁く。


「じゃあ…どうして豪炎寺はオレを避けるんだ…?」


しゃっくり上げながら俺が聞く。
すると秋は一瞬考えてこう言った。


「それは…豪炎寺くんが円堂くんのこと大好きだからだと思うわ」


オレは顔を上げてぱちくりと秋を見た。
豪炎寺がオレの事好き…?
オレも豪炎寺が好きだ。
ずっとずっと一緒にサッカーしたり、話したりしたい。
風丸や染岡、立向居や綱海、みんなともずっとずっと一緒に居たい。
それはオレが皆のことを好きだから。
好きなら…一緒に居たいって、そういう風に思うものなのではないだろうか?


「好き…なら…なんでオレを避けたりするんだ?好きなら…一緒に居たいって…思うものなんじゃないのか?」


思ったままに呟く。

すると秋は


「豪炎寺くんは男の子だから」


そう言って困ったように笑った。


「???」


男の子?
豪炎寺が男の子だからオレの事好きなのに避けたっていうのか?
それならオレも男の子だ。
オレは好きな人とは一緒に居たい。
オレが訳が分からないって顔をしていたら


「円堂くんにも分かる時がくるわ」


そう言って笑った。

秋の言ったことは未だに理解できていなかったけど、
その笑顔があまりにも穏やかで優しかったので、オレはひどく安心した気持ちになって「分かった」とつられて笑った。





**************************





「今日はありがとう!」

先ほどの秋とのおしゃべりですっかり元気なったオレは
迎えに来てくれたかあちゃんの車に乗り込みながら思いきり手を振った。


「ううん。お大事にね」


そう言って秋も手を振り返してくれる。


「秋ちゃん、本当に遅くまでごめんね。送っていかなくて本当に大丈夫?」


かあちゃんが運転席から秋に向かって言う。
もうすっかりあたりは暗くなっていて女の子一人では危ないからと、
秋に送るとアタックするも、「大丈夫です。ちゃんと母に迎えに来てもらいますから」と振られ続けていたのだ。
かあちゃんからの最後のアタックも「本当に大丈夫ですから」と笑顔で断られてしまった。


「じゃあ・・・本当に今日はありがとうね。気をつけて帰るのよ」


かあちゃんが言うと


「はい!」


とひまわりみたいな笑顔で秋は笑った。

じゃあそろそろ出発しようかとかあちゃんが車のサイドブレーキを下ろす。


「あのさ秋!」


車が発進してしまう前に俺は車の窓から身をのり出して秋を呼ぶ。
すると秋は一瞬びっくりしたようだがすぐに笑顔になってこちらにかけてくる。


「今日は本当にありがとう!オレ明日ちゃんと豪炎寺にオレの気持ち伝えるよ。
なんで冷たくしたんだって殴ってやるんだ」


耳に唇を近付けてこっそりとそう伝えると、秋はいたずらっ子のように笑って


「そうね!それくらいしてやらなきゃ」


と空気を殴る真似をした。


「それじゃあまた明日な!」

「うん!また明日ね」


そう言ってお互いに大きく手を振りながら秋と別れた。


車の中でぼんやりと月を眺めながら、オレは早く明日にならないかと妙にソワソワしていた。

ありがとう秋、オレどうかしてたよ。
何もしないでしょんぼりしてたら何も分からないし変わらないもんな。
豪炎寺の気持ちも、オレのこの気持ちも伝わらない。

待ってろよ!豪炎寺、明日は必ず捕まえてぶん殴ってやるからな!!






















「そろそろ出てきてもいいわよ」


私がそう呟くと、病院の正門の後ろから見慣れたツンツン頭がバツが悪そうに現れた。


「いつから気付いてた…」


それは今まで話題の中心だった豪炎寺修也その人だった。


「円堂くんが診察中にね、私廊下で待ってたの。
何気なく窓の外を見たら豪炎寺くんが真っ青な顔で病院に入って行くんだもの」


この世の終わりみたいな顔してたよ?


と、笑うと豪炎寺くんは照れたように頭を掻いてそっぽを向いてしまった。


「浦部がさ…」


そっぽ向いたまま豪炎寺くんが呟いた。


「俺たちが更衣室で着替えてる最中に、あいつ更衣室の扉を勢いよく開け放ってさ…」


豪炎寺が呟く
救急車で病院に行く時「うち、行く所あるから!秋!円堂のこと頼んだで!」とどこに走って行ったのかと思えばそういうことだったのか。

リカちゃんが更衣室に…
その光景を想像したらなんだかおかしかった。
元気な彼女のことだ、そこが男子更衣室だということもお構いなしでさぞかし豪快に扉を開けたのだろう。


「ちょい豪炎寺ツラ貸しぃ?って言われた時は…俺は殺されるかと思った…」


豪炎寺くんは声のトーンをいつもより落して呟く。
さぞかし怖かったのだろうと苦笑する。


「それでさ、円堂がケガしたこと知ったんだ…すっげぇ怒られた…」

「最近のあんたの態度なんなん!!?あんた円堂の事好きなんちゃうん!?
あんたは照れてよう円堂と話できへんだけかもしれんけどなぁ、
円堂はそんなこと知ったこっちゃないねん!あんたに冷たくされてめっちゃへこんでるやん!
なんでそんなことも分からへんの!!?」

「男やったらなよなよ逃げとらんと、ちゃんと好きな子と向き合い!」


って言われた…

豪炎寺くんがリカちゃんに言われたことをそのまま話す。
私は、わぁ…リカちゃんきっついなぁと苦笑したけど、話をしている豪炎寺くんはどこか清々しい顔つきだった。


「言われて気づいた…俺、自分の気持ちを自覚してから円堂の顔、まともに見れなくてさ…」

その…なんか恥ずかしくって…

と頭をかく豪炎寺くんは、
いつもあんなにカッコよくシュートを決める姿からは想像もつかないくらいかわいらしく見えた。


「自分の事でいっぱいいっぱいで、円堂のことを傷つけてること気付かなかったんだ…
慌てて病院に来てみれば円堂は泣いているし…俺は自分のしたことに本当に後悔したよ…」


本当に辛そうに呟いた。


「だけどもう吹っ切れた。」


まっすぐに私の方を見つめて


「俺はもうあんな態度とったりしない。円堂にも、今までと同じように接する。」


と言った。
私はそれを聞いて「うーん」と唸った後


「でもね、豪炎寺くん、恋した相手に今まで通りに接するのって本当に難しいんだよ?」

と言った。
すると豪炎寺くんは困った様にこちらを見つめてくる。
おおかた、今しがた固めた決意をばっさりと切り捨てられて、うろたえているという所か。


「そもそも、そんなことができたなら最初から豪炎寺くんは円堂くんに冷たくしてなかったわけでしょ?」


豪炎寺はがっくりと肩を落として「そういえば…そうだ…」と項垂れた。
私はふふっと笑う。


「無理に今まで通りに接する必要なんてないんだよ。
もうちょっと肩の力を抜いたらいいのよ。恋って素敵なものなんだから。」


私が言うと豪炎寺は怪訝な顔でこちらを見てくる。


「どういうことだ?」

「豪炎寺くん円堂くんには笑っててほしいのよね?」

「そりゃあ…」

「じゃあどうしたら円堂くんは笑ってくれると思う?」


私が聞くと豪炎寺くんは眉間に皺をよせて


「サッカー…?」


と言った。

そうきたか!と私は少し苦笑して


「それもそうだけど、豪炎寺くんに優しくしてもらったら
きっとサッカーの時よりも素敵な笑顔で笑ってくれると思うよ。」


豪炎寺くんがびっくりしたようにこちらを見る。
それを私はにこにこと笑顔で見つめ返す。


本当に何も気づいてなかったようだこの人は。


円堂くんが豪炎寺といる時が一番楽しそうにしていることも。
豪炎寺の前でだけ見せる笑顔も…


「無理に態度を改めるんじゃなくて、自分のしたいように円堂くんに接すればいいんだよ。
豪炎寺くんは円堂くんのことが好きなんだから、自然と優しくできるはずだし…」


そういう私の顔を怪訝そうに見つめている。
そんな豪炎寺を見てふふっと笑うと


「本当に、豪炎寺くんて男の子だよね」


と言った。
すると豪炎寺くんは訳が分からないとでも言うように眉間のしわを濃くした。


その時、私の携帯電話が鳴る。
お母さんだ。


「ごめんね豪炎寺くん。お母さんに迎え頼んでたんだけど、今着いたみたい。」


手を合わせて謝ると、豪炎寺くんは「いや、長い間ひきとめて悪かった…」とぺこりと頭を下げた。


「一緒に車乗って行く?送るよ?」


と誘えば


「いや、この病院両親が働いているから…大丈夫だ」


とあっさり振られてしまった・


「そっか、じゃあ安心だね!それじゃあ…また明日。」


そう言うと豪炎寺くんも「ああ…また…」と軽く手を挙げてくれる。
私も手を振って、身を翻して駆け出そうとした。


「木野!!」


駆け出そうとしたが、豪炎寺くんの声で引き止められる。
何事かしら?と後ろを向けば、


「今日はありがとう…木野の言う通り…俺…自分の思うまま円堂に接してみるよ…」


恥ずかしそうにボソボソと呟いた。
初なその姿に私は笑顔で


「そうそう!その意気だよ!」


と叫んで走り出した。




好きな子の前であがっちゃうなんて、
あのフィールドでは敵なしの豪炎寺くんがなんてかわいらしいこと。


まん丸の月を見上げて願わずにはいられなかった。

どうかあの不器用な二人の恋が実り多いものでありますように。






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思った以上に長くなってしまいました…汗
秋ちゃんは本当にいい女だと思います。
もうばればれかもしれませんが、管理人はマネジズの中では秋ちゃんがいっとー好きっす!!




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