願う
 神宮寺レンはそこに横たわった彼女を眺め、その肉感的な曲線美と金色の輝きに魅了された。彼女の外形をなぞる視線は柔らかく弧を描き、その質感を思うと――何度も触れているというのに心が震える。何者にも囚われないと自他ともに認める男が、何度だって触れたいと願うほど彼女の肢体は美しい。
 しかし、その外面のみの美しさ以上に神宮寺を魅了してやまないのが、彼女の声だった。ある時は柔らかくセクシーに。またある時は激しく野性的に。その声は男の手のうちにありながらも決して囚われることのない強かな個性を発揮し、誘う。しかし、何より愛おしいのは、彼女はどんなムードであろうと神宮寺に調子をぴったり合わしてくれることだ。悲しみも喜びも等しく受け入れて、彼女の声は男に寄り添う。

 今日も神宮寺は彼女に触れる。指で舌で唇で。交わされる口付けの中で吹き込まれた吐息はやがて周りを魅了し、誰の手も届かないところまで行ってしまった二人を祝福する音楽になるのだろう。

06.願う

(俺はお前のサックスになりたい)


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 この前読んだお話(1Pもない短いもの)を御曹司で書いてみたのですが、これのネタメモが酷く乱雑で驚きました。「神宮寺さん×サックス←聖川さん」これは流石にないでしょう。

2012.03.02



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