「主、入りますよー」

「ああ、カロ…おい、足で扉を開けるな。行儀が悪い」

「仕方ないでしょうに。ほら」

「今日のおやつか」

「チョコレートケーキにレアチーズケーキ、マドレーヌにクッキーに、嗚呼、サンドイッチなんかもありますね。あと、ダージリンとハニーブッシュ。糖分は控えろってことでこっちに砂糖は付かないそうで」

「の割にシロップやミルクを付けてる時点でな」

「ストレートで飲めなくてすんませんね!」

「拗ねるな、カロン。そんな壮年がいてもいいと思うぞ?」

「…っ、なんで俺に対するフォローは適当なんだよ」

「それはお前がタナトスに悪戯したからだろうに。甘えるな。あ、私はダージリンで頼む」

「はいはい。つか、俺は、普段忙しいタナトスのことを思ってですね、」

「分かってるさ、そんなこと。だからストレス発散も兼ねて、タナトスが朝お前を起こしに来たんだろう?普段は使わない鎌まで用意して」

「…ちょっと待って下さい。なんでアンタが知ってんですか、それ?」

「なんでだろうな。マドレーヌとマーマレード、キューカンバーを貰えるか?」

「はい…って、つまりアンタの差し金か!」

「鎌と短刀、剣、ピックまではな。ハサミとカッター、鋸辺りはタナトスの意思だ」

「アンタなぁ、」

「主」

「…っ、クソ主が…俺が死んだらどうするつもりで」

「神は死なないだろ。しかも男性の死者は何と呼ばれる?…“ペルセフォネの花婿”だぞ?そんなものにさせるくらいなら、タルタロスに落とす」

「あの、目が笑ってないんですが」

「さて、カロン。話を続けるか、簡易アフタヌーンティーを楽しむか。どちらを選ぶ?」

「…慎んで、主とお茶を供に致しますよ」




戯れに、攻防




「主、嫉妬深い男は嫌われますよ」

「大丈夫だ。あの子の前では見せない」

「でもストレス溜まるでしょうに」

「大丈夫だ。今まで通りお前で晴らす」

「…チョコレートケーキ頬張りながら物騒なこと言わないで下さい」


2010/11/23