黒バス短編 | ナノ

ネタの腐女子→笠松♂




突然だが、私は黒子のバスケという漫画が好きだった。主人公と相棒、チームメイトとの友情やかつての仲間との決別など青春ものに弱い私は見事にのめりこんだ。そんな漫画の世界に、何故かはわからないが、私は生まれ変わってしまった。所謂転生というやつだ。
しかしこの転生、ただの転生ではなく成り代わりというものだったので、私は大好きなキャラクターである「笠松センパイ」として生まれたのだった。色々とキャパオーバーなところはあるが、とりあえず置いておこう。端的に何が言いたいのかというと、腐女子でもある私は当然彼らで妄想するのも大好きだったわけで、私が笠松センパイに成り代わっていなければよりよかったということだった。
漫画の世界に来てしまったとか、そういうのはもう本当に横に置いておこう。

「幸くん!」

元気に私を呼んだのは幼馴染の真くん。家がとても近く、家族ぐるみで付き合いのある子だ。ちなみに苗字は花宮で私の1つ下の男の子だ。
……ここまでくればもうわかるだろう。そう、彼だ。黒子のバスケきってのゲスキャラクターと定評のある花宮真くんだ。今はまだ小学生だからすごくかわいいのだけれど、中学高校と年を重ねていくと原作のようなゲスになってしまうのかと思うとすごく残念だ。
というわけで、私は悪童更生(まだやらかしてない)作戦を開始しようと思う。

「おう、どうした真」
「あのね幸くん!オレもバスケ始めたから教えてほしいの!」
「オレは厳しいぞ?」
「うん!のぞむところ、だよ!」

天使だ、天使がいるぞ。
これでますます悪童更生(まだやらかしてない)作戦を完遂させなくてはならなくなった。
私が鼻を押さえながら言うと真くんはにっこりと笑った。ああくそ天使。ちなみにまだ鼻血は出てないぞ、傷は浅い。
そしてその後天使は、見事にゲス回避したものの正直遠慮したい属性を付随させて私の前に降臨した。あ、いや、ぶっちゃけるとゲスも回避できてなかったわ。私に告白しようとする女子や男子(おい)に手は出さないものの精神的に攻撃しまくるし、それでも一歩間違えば本気で刃物取り出すような子になってしまった。ラフプレー回避できたのはホントよかったよ。……将来私に好きな人ができたらどうなるのだろうか。最悪、相手は殺されて私は監禁または無理心中か。笑えない冗談だわ。

「幸男サン」
「真……その、放してくれねえか」
「嫌だ、一緒にいるのにわざわざ放す理由がわからねえ」
「オレは一緒にいるだけでわざわざ抱き締められる理由がわからねえな」

後ろから抱きすくめられる。いや、あのね?家でいるとかならまだ許すよ?拒絶したときが怖いから。たださ、今は合同合宿とかいうものの最中、というか始まりすら告げていない集合中なわけでして。……おわかりだろうか、つまりこの合宿にはかの黄色がいるということを。青黄びゃあああああっと言いながら全裸待機していたはずのヘタレわんこが狂犬という職業にジョブチェンジして真くんと同じ属性を身につけてしまったのだ。=オレ\(^o^)/
木花も全裸待機のはずがどこを間違ったのか真くんは私にぞっこん()だし。
狂犬はもちろんだけど、あと参加校の皆さんの視線が痛いからいいかげん離れようね。ほら霧崎第一の皆さんの顔見て、絶対普段そんなキャラじゃないんだろ?な?海常に行きたいと駄々こねたとき「せっかく真は頭いいんだから進学校とか行ったらいいのに」とダメ元で呟いたセリフにあっさりと霧崎に行ったんだから今こそその素直な性根を全面的に引き出すときだろう?な?

「おいてめえら、幸男サンはオレのもんだから、手ェ出すなよ?」
「おい馬鹿やめろ」

私の首筋に埋めていた顔をあげて真くんが挑発するようにみんなを見渡した。抱き締める腕の力はとても強いですいたい。狂犬を始めとする何人かの目がぎらりと煌いたのは是非見なかったことにしたい、切実に。……とりあえず、

「助けろ森山!!」


ヤンデレ注意報!






「いや、ムリムリ。そこに入っていけるほどオレ強くないから」


幸男サンと幸兄で小一時間迷った。

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