人生イージーモード | ナノ



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兄貴が中を一掃してる間に外の警備員をボコる。
それが私のただいまよりの任務だ。

「特に変な装置とかはない、と」

鏡の中で会場の周りをぐるりと一周する。何かの装置があって、万一それが任務の失敗に繋がってはどうしようもないからだ。
あとは外の警備員の人数、配置の確認だけど……。
これは少し難しいかもしれない。さすがに会場の周りに鏡を敷き詰めてくれているわけでもないし、警備中に鏡みて身だしなみ整えてるバカもいないだろう。困った。

それにどう頑張っても配置場所はそこそこ離れているわけだから、無線で通信されたらたまったもんじゃない。それじゃなくても連絡はとりあっているだろう。
バレた時に何がまずいかと言うと、中にまで連絡がいってしまうことだ。これでは兄貴が自由に動けなくなるかもしれない。

……何にしても一度鏡から出なければならないようだ。
会場から離れて人気のない場所で鏡から出る。警備は本当に会場の周りだけみたいだからバレない程度に距離を置いてもう一度会場の周りを歩き始める。
でもこれって警備員の中にナランチャみたいなスタンド使う人いたら終わるよね。会場の周り一周するなんて怪しすぎる。
マン・イン・ザ・ミラーは結構なチート能力かと思いますが、欠点は鏡がなきゃ何もできないところですね。
鏡の中に私が鏡を置いても外の世界に反映されたりとかしないのだろうか。
ほら、外の世界の物が壊れたら鏡の中でも壊れるってあれ。あれの逆バージョンみたいな能力を切に希望します。

て、そいうや試してなかったな。
やってみたら案外できたりして。なんて、そんな都合よくいくわけないですよねー!
……やってみよ。

会場の周りを半周したくらいで足を止めて少し遠ざかる。それから持っていた手鏡の一つを地面に置いてそこから中に入る。
それからもう一つの手鏡を鏡の中の地面に置く。覗き込むと空が見えた。
こ、これは成功なのでは?

試しに外へ出てみる。出られた。

「ははーマジチートだわぁ……」

これはいい収穫だ。新たに戦略に幅ができました。
とりあえず鏡の中に戻ろう。で、会場までダッシュ。なぜかって?
ナランチャみたいなスタンド使いがいないかの確認ですよ。もしいた場合、必ず私の動向に注意してなんらかの処置をするばずだから。なるべくバレないように距離はとったけど、相手の射程距離がわからないから場合によっては意味がないかもしれない。
それでは困るから一刻も早く確認しなくてはならないのだ。

「……おかしな動きをするポイントを見つけた」
「!、いかがしますか」
「そうだな……全班に通達!警戒レベルを上げろ!」
「は!」

バレてました。
ですよねー!こういうのってフラグっていうんだよね知ってる。
いたら困るって言ったときに限っているんだよね知ってる。
でもまだ中に連絡を入れる様子はないからセーフ?
とりあえずまずは警備長?っぽいあのスタンド使いから仕留めますか。
どうやら彼の傍にいる人型のやつがスタンドみたいだし。それなら本体のみ引きずり込んでいつもどおりにサクッと。
ってこれ連絡させない方がいいよね?善は急げってことで突撃!


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