人生イージーモード | ナノ







「イルーゾォ、早速任務なんだが、今回はプロシュートとコンビで行ってもらう」
「ホント!?」
「あ、ああ……」

リーダーに引かれたけれど気にしない!兄貴と任務だ!
足引っ張らないように大人しく説明聞いておこう。
メンバーが集まる大部屋のソファにリーダーが座る。私と兄貴もその向かい側に並んで座った。
兄貴の隣ですよ距離近いキツ過ぎない香水の香りがディ・モールト ベネッ!

「(なんだかプロシュートが絡むとテンションが上がるな……)」
「(今リーダーが何考えてるか手に取るようにわかるわ……)」
「(イルーゾォぐうかわ……)」
「プロシュート……」
「おう……」

リーダーと兄貴がなんだか目で語り合っている。蚊帳の外ですか私。疎外感MAX。
はあ、と大きく溜息を吐いてリーダーが任務の説明を開始する。

「今回はパーティーに参加してもらう」
「要人暗殺?」
「ああ。だが上からは誰を狙ったか分からないようにしろと言われている」
「そっか……」

つまりそういうこと。
わかってはいたけど……やっぱり気が重いかな。あまり大きなパーティーでないことを祈ろう。
隣でぽんぽんと頭を撫でてくれる兄貴がマジ兄貴。惚れてまうやろ。

「こういうのもなんだが……徐々に慣れていけばいい」
「慣れないのが一番だけどな」
「うん。足手まといにはならないようにする」
「よく言ったぜイルーゾォ、それで十分だ」

リーダーも兄貴も優しくてこの人たち本当に暗殺者なんですかレベルです……。
暗チは仲間意識が強いイメージがあるから余計にもう……。
なんかこう……新しく家族ができたみたいな?メンバー揃ったら家族ごっこしてもらおうそうしよう。

最低限の荷物を用意してアジトの出入り口(もう玄関でいい?)に向かう。
任務の詳細はもはや詳細と言えるかどうか怪しいくらいでした。とりあえずやってこい。なんてこった。
玄関で立ち止まってリーダーを振り返る。

「えーと……」
「どうした?」
「その、いってきます……であってる?」

そもそもこのチームの中でそういう挨拶は行われているのだろうか。
少し不安になってしまう。言ってもいいのかどうか。
目を泳がせながら呟くようにこぼすと、また兄貴に頭をぐしゃぐしゃにされる。

「バカか」
「ちょ、プロシュートやめてぐしゃぐしゃになるっ」
「あんだけ威勢よくしといて今更なに遠慮してんだよ」
「はは、そうだな。イルーゾォ」

兄貴にバカと罵られ(愛)、リーダーには笑われてしまった。
優しく呼ばれた名前に顔を上げると、リーダーが不器用に微笑んでいた。

「いってらっしゃい。その無事を祈っている」
「(リーダー顔、顔)」
「(リゾットの顔やべえ)」
「おまえたち覚悟はいいか、オレはできてる」
「何の!?」

あれか!?コロヌ覚悟か!?
微妙に手からメタリカ出さないでお願いしますごめんなさい。

なんだかシリアスムードが霧散したところでブッと噴出す。
さあさ笑顔で行きましょう。

「行ってきます!」
「行ってくるぜ」

「ああ、いってらっしゃい」

あんたらまじ惚れてまうやろ。


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