人生イージーモード | ナノ



17



ひやり、冷たいものが喉を掠める。両手はすでに絡めとられてしまった。相手の力が強く、十数歳の私には到底敵いそうもない。
持ってきた手鏡に触れることさえできれば、あるいは……。

「そう、そのまま。しゃべらないでね」

物騒なものをかざした男に誰も見向きもしない。店内で行われているはずなのに、だ。
目の前を普通に通っていく客。変わらずレジを打つ店員。極めつけにはきょろきょろと私を探すホルマジオだ。
目の前にいるはずなのに、見えていない。

「余計なことは考えるな」
「さ、ついてきてもらうよ」

ホルマジオを気にしつつ、男二人についていく。確実に反撃できる態勢に持ち込むまで、あまり暴れないほうがいい。相手は二人だ。その上、ホルマジオが気づかないことを考えると、スタンド使いで間違いないだろう。能力は認識に関わるものだろうか。
金髪の男に喉元にナイフを宛がわれ、黒髪の男に両腕を拘束される。何かの拍子に私の喉にナイフが突き刺さるのではないかと危惧するが、二人の息はぴったりで歩く速度や歩幅も寸分狂わず同じようだからそれはないのかもしれない。
そのまま近くの空き家に連れて行かれる。

拘束は緩まない。が、少しだけ軽くなった空気に、私は叫ぶ。

「お前たちの犯行は素晴らしかった!コンビネーションも戦略も!だが、しかし、まるで全然!このおれを倒すには程遠いんだよねぇ!マンミラァアアアッ!!!」
「う、うぉおおおおおお!!!」




「楽しかったか?」
「うん。超楽しかった」
「それはよかった」

はい、おまえ何でこんなにのほほんとしてんだよ、っていうツッコミはうけつけます。
実は私を誘拐(もどき)した二人はなんと、暗チが誇るホモコンビ(語弊)、ソルジェラさんです!ドンドンパフパフ!

「いやー、それにしてもイルーゾォってばすごいな。ちっとも慌てないんだもん」
「こっちが慌てたぞ……」
「マジで?おーおれってすごいのかも」

ソルジェラさんはリーダーに新しく仲間が入ったって聞いて、それが子供だっていうから余計に気になって実力を見るついでにからかってみたらしい。
主にジェラートの発案。おちゃめな嫁に付き合うのは大変だね、ソルベ。

「じきにホルマジオもここに来る。そしたら4人でアジトに帰ろう」
「楽しみにしておくんだよ、イルーゾォ」
「え?」

楽しみに??して??おく???んだよ???
つまりどういうことだってばよ。

「あー、やっと見つけたぜ」
「あ、ホルマジオ」
「勝手に消えんなよ」
「しかたない、ソルジェラのせいだ」
「ソルジェラ?」
「俺たちの略称だってさ」
「悪くない」

ホルマジオも合流したことですし、アジトに帰りましょー!
そうそう、あの誰も気づかなかった奴はスタンドなのかと聞いてみたが、ジェラートにかわいく「ひ・み・つ」って言われてしまえば詮索する気はなくなりますよね本当にありがとうございました。
とりあえず、輪切りのソルベは絶対に阻止しなくてはならないと思いました。




 top 

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -