人生イージーモード | ナノ







任務のことだが、一応パーティーに参加するのは兄貴だけだ。
私は鏡の中で待機。ついでにパートナーが必要らしいから兄貴はどこかで適当に拾っていくそうだ。扱いが雑い。
入場の際に何か確認されるのではと思ったけど、よくよく考えてみれば招待状すら偽物なんだからパートナーが偽者でも構わないだろう。
兄貴に声をかけてもらえることを羨ましがればいいのか声をかけられてしまったためにその人生に幕が下りるのに同情すればいいのか。難しい。
それと撤収のときに兄貴と入れ替えるための男性を一人鏡の中に閉じ込めておく。どうせ目撃者はいなくなるのだからこちらもバレる心配はしなくていいだろう。

会場の近くのホテルで一泊。
私は今高級ブティックにいる。ちなみに鏡の中。
少し前に一度別れて、兄貴がドレスコードの衣装を見ている間に替え玉の男を一人拾ってきた。目立たないような普通の男性だ。巻き込んでごめんなさい。
パーティーは今日の夕方から夜にかけて開催されるらしい。詳しい終了時刻は知らない。
だからそれに間に合うように兄貴はパートナーを見つけて支度を整えるというわけだ。

「イルーゾォ」
「はーい」

タキシードを試着した兄貴に呼ばれる。試着室は広めの個室のため周りを気にする必要がない。
それにしても兄貴ほんと美人さん。

「よう、さっきぶりだな。よさそうなのはいたか?」
「うん。その辺でちょっと酔っ払ってたの拾ってきた」
「昼間から酒かよ。……まあいいか」
「それよりプロシュート、すごく似合ってるよ!かっこいい!」
「ああ、Grazie(イルーゾォぐうかわ)」

すごくキマッています。イケメン!というより美人さん。睫長い。私前世女だけど普通に負けた。兄貴かっこいい。
いつか暗チメンバー全員正装させて並べたい。

「じゃあオレは行くが、後は大丈夫だな?」
「当然。任せといてよ」
「Bene」

最終確認をして部屋を出た兄貴を欲望丸出しで追う。何で鏡の世界って鏡を通さないと外が見えないんだろう。兄貴の神々しいお姿が少ししか拝めない。くそう。

そしてさすがの兄貴が選んだだけあって美人なお姉さんと彼女によく似合うドレスは周りの視線を独り占めしていた。兄貴すげえ。
あ、あと兄貴が頼んでくれたホテルのルームサービスはとてもおいしかったです。




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