02
―ばんっ。
急いで部屋の扉を開ける。
思いのほか扉を開ける音が大きすぎて自分でもびっくりした。
でも、そんな音が私を正気に戻す。
「あ、御帰り。」
「ただ、いま…。」
「はい、早速ですが、携帯見せて?」
彼の手が私の目の前に差し出された。
それに答えるかのように私は制服のポケットを漁って携帯を出す。
カチカチと履歴を見てるかわからないけど、彼はいつもチェックをする。
「うん、男とメールも電話もしてないね。はい、返すよ。」
手のひらの上に置かれる携帯。
私はそれをぎゅっと握りしめる。
「きみは俺だけを見てればいいんだよ、ずっと。」
彼の声が私の頭の中で鳴り響いた。
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