「私は貴方が好きです。」
「寿さんの妻であっても私はこの気持ちを抑えきれません。」
「何もかもを捨てて、私と一緒に来てくれませんか。」
「いえ、私と結婚してください。」


目の前にいる後輩が言った。
私はなにを言われているのか頭で理解することが出来なかった。
けれど、目の前に差し出された離婚届と結婚届が目に入り、ようやく頭が理解してくれた。駆け落ちってことだ。そして、結婚。結婚するということは嶺二さんと離婚するということ。もし、私が居なくなったら嶺二さんはどうなるの?ぐるぐると頭の中でそのことばかりが巡っていた。
そんな事と裏腹に私は離婚届を手に取っていた。私の中ではもう決めていたのだろう。


「いいの、ですか…?」

「もう決めた、私はトキヤくんに着いて行く。だから、嶺二さんとは離婚をします。」


離婚届を手にして名前などを記入する。
左の薬指にはめていた指輪を外して離婚届の上に置いていく。
嶺二さん、これで最後です。最後の最後であなたは早く帰って来ないんですね。もし、あなたが帰ってきて行くな。なんて言ってくれたら変わっていたかもしれません。
でも、それすらもないんですよね、分かっています。さよなら、嶺二さん。
そして、ある程度荷物を鞄に詰め込み私は部屋を出た。




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