襲う衝動 5
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「なっ…!」
「ムツ君」
低く、唸るように呼ばれた名前は、日常で彼が呼ぶものとはいくらか違っていた。
耐えるような愛しむような、でも意地悪な…そう、彼が夜、ムツを抱き締めるときに囁くような。
「淋しかったんですか?」
聞かれて、答える前にムツの体はリードの布団へ沈められていた。
あ、と思う間もなく抱き締められる。
うなじに、リードの熱い息が当たって恍惚の鳥肌が立った。
「リードく…」
「ムツ君、」
こきゅ、とリードの喉が上下し、そこでようやく彼はムツと目を合わせた。
…餓えた獣のように、乾き切った目を。
「…私が、いない間、…いい子にしてました?」
「う…っ、ああっ…!」
問い掛けと同時に自身を擦り上げられ、ムツは思わず上擦った嬌声を上げた。
自分で触るのとは明らかに違う皮膚の柔さと熱さが脳天に直接響き渡る。
「びっくりしました。ムツ君、俺の布団で切なくなっちゃったんですか?顔、擦り付けちゃって」
「ふっん…ち、がァッ…!」
「嘘。だって、布団こんなにびしょびしょになってますよ…」
リードはムツの手を取り、導くように自分の布団へ重ねた。
そこはムツの汗と唾液、そして体液で、水を零したかと思うほど濡れそぼっている。
気付かぬうちにこんなに、と、ムツは羞恥からくる興奮でぶるりと身を震わせた。
「…ひとりでして、気持ち良かったんですね?」
リードはそんなムツを見下ろして、うっとりと呟いた。
眼下のムツは途中で打ち切られた快楽の残骸に荒い息で大きく胸を上下させている。
たまらない、とリードは思った。
「俺の名前呼んで、感じてたんでしょう、ムツ君…」
立ち上がり切って痛々しいくらいに膨らんだムツ自身を、リードはいとおしそうに両手で包んだ。
おののくように喉を反らして身動ぐ彼に構わず、ぽたぽたと涎を垂らす先端に口付ける。
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