襲う衝動 3
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「……っん、く……」
まあるく円を描くように布の上から愛撫するのは、リードがよくするやり方だ。
ムツ自身は自慰なぞ下手くそで、きちんと自分で巧い方法を見つけられない。
だから、…あまりしないけれども、自分でやるときには、リードがしてくれたことを思い出しながらするのだ。
そうしたら、リード君が…そこにいてくれるような、気がするというのも、あるから。
「あっ……く、んんっ…」
僅かに解けてきたムツ自身は、次第に下着越しのもどかしい感覚だけでは足りないと主張してくる。
無自覚に腰を揺らしていたことに気付いて、ムツは顔を火照らせながらも下着をとる。
まだ直に触ってもいないのに、そこは赤く熱く張り詰めている。
冷たい空気に触れ、ぞくぞくと背筋を震わせながら外した下着から、ぬるり、と透明な液が糸を引くように床へ垂れていった。
「あっ…、う、リード、くんっ…」
愛しいひとの名前を呼んで、掴んだ自身はじゅわりと蜜を溢れさす。
最後にリード君が触れたのはいつだろう…。
ムツはそんなことを思いながら、恐々と指を動かした。
下から上へ。
ぐるりと一周。
垂れ落ちた先走りを手のひらに伸ばして中心を強く揺さ振れば、ムツの体は面白いくらいにビクビクと跳ね上がる。
全部、全部、リードが教えてくれた好いところ、なのだ。
…リードくん……。
次 第に早くなる手、その動きに追い立てられて、ムツは白く霞んでいく思考の中でむせるように嗚咽した。
こんなに必死に彼の記憶を追っても、現実にはひとりで、それなのにこんなに昂ぶる自分が恥ずかしくて。
いつの間にか、ムツは自分の顔をリードの布団に埋めていた。
まるで己の理性から隠れでもするように押し当てて、は、は、と口で息をする。
← | →
[
TOP ]