襲う衝動 2
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・……リード、君。
五日前、すぐ帰りますから、と名残惜しそうに頭を撫でてくれた手のひら。
寂しがらないで下さいねと、優しく口付けてくれた唇。
最後にもう一回だなんて、案外甘えん坊の彼らしく抱き締めて離れなかった腕。
…そのときに感じた、匂い、だ。
あのときは…数日くらいで大袈裟だと、笑ったのに。
リード君、…早く帰るって…言ったくせに…。
今ではこちらのほうが泣きだしそうになっている。
情けなくなって、そしてたまらなくて、ムツはリードの布団に頬を重ねた。すると更に強く感じるリードの幻影に、ムツはくっ、と喉が鳴るのがわかった。
…ど、うしよう。
もどかしく息を吸う。
嚥下した唾液が思ったよりも熱を孕んでいて、ムツは内心焦った。
なんてことだ。
…リード君を思い出しただけで、体がリード君を求めてる。
誰もいないのに、こんな簡単に熱を持つ体が恥ずかしくて、ムツの顔は耳まで真っ赤に染まる。
しかし、一度自覚した欲望はなかなか去ってはくれない。
ムツは少し悩んで、……結局、自分の寝巻の裾を捲くることにした。
「っ…」
若い体は快楽に正直だ。
恐る恐るなぞった太ももは、それだけでふるりと痙攣する。
腰まで指で伝って、届いた下着の上から立ち上がりかけている自身に触れた。
…リード君、と胸中で呼び掛けるだけで、昂ぶってゆくのがわかる。
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