襲う衝動 1
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続
抑えきれぬ衝動続
青い感情続
白くて甘い続
糖度はごく高め続
微笑む絵本※もし寮生活だったら、しかも同室だったら。
完璧な管理人の趣味により出来ています。
リード君の居ない夜というのは、こんなに静かだったろうか。
だれもが寝静まった夜中、ムツはさわさわと風の鳴る外を眺めながら思った。
リードが家の用事で出かけてもう五日。
当初の予定では昨日までには帰ってくるはずだったのに、とうとう今日の夜も間に合わなかった。
こうなれば、もう明日明後日になると思っておかねばなるまい。
いつだって傍にいてくれた存在にたった数日会わなかっただけでこれだ…。
随分自分も相手に依存していたんだなあ。
ムツは淋しさを感じる自分に苦笑し、しかし考えていても仕様がないので、さあ今日はもう寝ようと立ち上がった。
こんな夜はさっさと寝るのが一番なのだ。
押し入れを開き、一人分だけの布団を引き出す。
…と。
「わっ…」
仕舞い方が不味かったのか。
一式だけ出そうと引っ張った布団に絡まり、下に重ねていたリードの布団までずり落ちてきてしまった。
構えていなかったムツは、支えようとするも重さによろけて尻餅をついてしまう。
「いったあ…」
布団というのは存外重い。
それも二人分のものを頭からひっかぶり、ムツは受け身を取るも打ってしまった頭を苦い顔で押さえた。
いやな気分になりながら、もぞもぞと布団の下から這い出ようとする。
……あ。
ふわり、鼻孔に擦ったのは一瞬だった。
しかし、その匂いにムツは確かに反応してしまったのだ。
……リード君、の……匂い。
重なり合った布団に付いていたのは、確かに愛しいひとの匂いだった。
それはとても微かなもので、ムツのように四六時中一緒にいる人でなければ、言われても気付かないような、そんな。
けれど、五日も会えず淋しい思いをしていたムツに、その匂いは、少し強すぎた。
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