欲望ロマンス 2
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・渡されたアイスは白一色のミルク味。
対するブースターはピンクと白のマーブルがなんとも乙女心をくすぐる苺ミックス味。
最後なんだから私に譲ってよ、とグレイシアは手遅れにならない内に早急な交換を求める。
しかしブースターも無類の苺ミックス好き。
敵意を眉間のシワに表し、断固としてアイスを手放さない。
「自分で取りに行かなかったお前が悪い」
「だってブースターがさっさと取りに行っちゃうんだもん!ズルいズルいズルいーっ!」
「早く食わねーと溶けるぞ。つーか溶けてる」
「え?うわっ!」
ブースターに指摘され、ふと手元に目をやると、早くも暑さに負けたアイスがビニールの中に白い雫をこぼしていた。
グレイシアは急いでビニールから泣き濡れているアイスを救い出し、口に運ぶ。
「…んーっ、美味しいー」
苺が入っていないとはいえ、アイスはアイス。
口内に瞬く間に広がった至福の食感にグレイシアはうっとりと目を閉じ、火照った顔を解きほぐした。
たかだか苺ごときで荒だった自分が恥ずかしいとすっかり鎮静されたグレイシアは夢中になって甘味に浸り尽くした。
「…ん」
「えっ?」
それから数分後のこと。
穏やかな表情に戻ったブースターが残り半分になったアイスをグレイシアに差し出した。
彼もまたアイスに癒やされ、良心が生まれたのだろう。
「…いいのっ?」
「はよ食え」
瞳を輝かせて尋ねるグレイシアにブースアーはぶっきらぼうに言い捨てる。
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