愛するネズミたち 7
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「イヤらしい顔して…隠さなくてもいいの?」
いつも恥ずかしがって善がる顔を手で隠している。
そのことを問い詰めればハッと気付いたのだろう。
「あぁぁ…やっ…やめっ」
「さっきも言っただろう?ダーメ」
片手で顔を隠し、もう片方はライチュウの蠢く手を止めようと指が絡んできた。
扇情的な姿を満足するまで写真に収め、意地悪く呟けば予想通りの反応が返ってくる。
それが楽しい。
理性と本能の狭間で揺れるピカチュウはとても淫らで悩ましい。
嫌だと言われると、もっと乱したくなるじゃないか。
ゴクリと上下する喉。
顔を隠すべきか、動きを止めるべきか戸惑う姿は充分にライチュウを欲情させていた。
「そんなに撮られたくないの?」
散々撮った後でまた問い掛けるとピカチュウは何度も首を振る。
「そっか……ならもう写真はもうこれでやめておくよ」
「……え?」
ピッピッという機械の設定音の後、ライチュウはあっさりとカメラを近くのテーブルに置く。
何とも潔過ぎる展開に少し呆然とする。
飽きたのか…?
あまり働かない思考でライチュウの背中をジッと見つめるピカチュウ。
さっきから止まらない熱に足をモジモジ擦りつける。
正直に言えば直に触ってほしい。
が、そんなところを撮られるわけにはいかない。
彼がお気に入りの玩具を一時的でも手放してくれたことにホッとした。
振り返ったライチュウと目が合う。
またさっきと同じように楽しげな笑み。
← | →
[
TOP ]