愛するネズミたち 2
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「撮り過ぎだって。一体いくつ撮るつもりなのさ?」
「俺が満足するまでかな」
「容量は…」
メモリーカードの容量は無限ではない。
いくら画質を下げても昼から撮り続けて容量がいっぱいにならないわけがないのだ。
「メモリーカードはいくつか買っているからね!まだまだ撮れるぞ」
誇らしげにいう男に呆れている。
だが、ライチュウは気にすることなくカメラを覆っていた手を退けてまた一つ、ピカチュウをカメラに収めた。
「こーらっ!」
「おっ、と」
可愛く窘め取り上げようとする恋人からカメラを持つ手を頭上に上げて遠ざける。
入浴後のパジャマ姿は欲情を湧き立たせるには充分過ぎるほどに扇情的だ。
火照った頬。
襟から覗く、まだほんのり湿った首筋。
熱で潤んだ(と錯覚した)瞳。
そんな恋人が自ら密着してきている。
誘惑していないと言われても説得力はない。
ライチュウの肩に手を置き、背伸びをしてカメラを奪おうとするピカチュウは見下ろしている視線に気付かない。
そのまま飛び跳ねてカメラへ手を伸ばす。
しかし指先が機器の表面に触れただけで奪うまでには至らない。
もう一度試みようと飛び跳ねたのだが、瞬きした瞬間、天井へ掲げられていたデジカメはそこにはなかった。
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