愛するネズミたち 1
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ことの始まりは、ライチュウが購入したデジカメから始まった。
洗濯物を取り込でいたピカチュウはレンズを向けてくる恋人に苦い笑みを向ける。
「そんなに楽しい?」
ピカチュウの家に訪ねてきたライチュウはピカチュウの了承を得るなりいろんな所を取り始めた。
家の主は勿論、玄関、居間、キッチン、浴室、トイレ、家具、庭。
「今のカメラは性能がいいからね。いろんな設定で撮りたいんだ」
そのはしゃぎ様は新しい玩具を手にした子供のようで微笑ましく思う。
「ぴかちゅー、こっち向いてー」と呼ばれた時の振り返りざまや、調理しているところにレンズを向けられる。
自分を被写体にされて気恥ずかしい気もするが、なるべく付き合って笑みを向けた。
しかし、それも夜まで続けば嫌気が刺すもので……
風呂から上がり、ライチュウがいる居間へ戻ろうと廊下を歩いていると、背後からシャッター音が聞こえた。
振り返ると、にこにこと笑いながらこちらにカメラを向ける男がいる。
ここまでくればパパラッチとも言える付け回しように溜息一つ。
「もう、いい加減にしてよね…」
彼に詰め寄りデジカメのレンズを手で塞ぐ。
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