朝一番のおはよう 2
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「あの……」
「ザン、名前を呼べと何度も言ってるだろ」
「あ、すみません。なんだか癖になっちゃって…」
名を呼ぶように言いつけられたことを思い出したのか、苦笑しながら謝る。
だが、悪い気分ではない。
彼女に『ご主人様』と呼ばれると妙な気分にさせられるから。
脇から回していた腕を腰まで移動させ、力を入れる。
密着度が増すと「ひッ」という小さな声が上がり、身体が過剰な反応を見せた。
「リザードンさん…」
「ん?」
何か訴えるような目元は桃色に染まり、おそるおそる覗き込んでいた顔が、視線があった途端にそっぽを向く。
いつもは諦めてされるがままの彼女だが、今朝は違った。
俺を引き剥がそうと力一杯腕を突っぱねるが、敵うわけがない。
ガッチリと固定した腕にまた力を入れると、イヤイヤと首を振る。
好きな女に嫌がられると、もっとしたくなるのは男の性だ。
例外はあるけどな。
「あ………あたって…」
「何が?」
恍けてみると、涙がたまり始めた煽情的な眼差しが見つめてくる。
密かに息を呑み込みながら、彼女の答えを待つ。
「リザードン…さん、の…モノ…」
「俺の?コレか?」
「ぁっ」
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