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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ドアの向こうには不機嫌そうにまゆをひそめるブラッキーがいた。
「なに、こんな時間に?それに君は会ったことないと思うんだけど」
実際のところブラッキーは不機嫌だった。
しかしエーフィはその位でおじけづいたりしなかった。この森をさまようのはもうまっぴらだったから。
「お願いっ!この森で迷っちゃって、日は暮れるしいつまでたっても森の外に出られないし困ってるの。助けてくれないかな…?」
ブラッキーは少しの沈黙の後、いいよ、と小さくつぶやいてエーフィが入れるようにドアから下がった。
小屋の中は様々なものが山のように置かれていた。
特に目を引くのはおおきな釜とたくさんの本。
寝床らしきところにも本が山積みになっていた。
エーフィは入ってきたドアの近くのじゃまにならなそうなところにきのみの入った袋を置いた。
ブラッキーはじっとエーフィを見ていた。
「あ、あのありがとう。ホントに困ってて…」
「うん、この森は慣れないやつにはやさしくないから」
「あなたは…この森にずっといるの?」
「そう。やることがあるから」
「わたしはこの森の縁のところに住んでるの。いつもは平原の方できのみとか採ってるんだけど、今日はたまたま森の方に入ってきたの。で、結果はこうなっちゃった」
「そう。大変だったね」
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