回想回帰 26
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・窓からまっすぐ射し込んでくる光が顔を照らしているのを感じて目を開けた。
いつの間にか、ソファーの上に俺がいて、エルフィはそこにはいなかった。
けれども、廊下越しに物音が定期的に聞こえているから、きっと起きてなにかしているんだろう。
「いつっ…」
行為のせいで少し痛む腰を押さえて立ち上がり、物音のする部屋に行く。
「エルフィ?」
くるり、と丸まった背中を回してこっちを向くと、笑顔を浮かべて言った。
「おはよ。これ…必要なくなったから捨てちゃおうと思って。」
ボストンバックの中の大量の手紙のことだ。
「ああ、それがいい。」
中身は何…とは聞かないことにして、近くにあった大きめのごみ箱を差し出す。
「あっ、これは私一人でできるから。
朝ごはん作ってみたから食べてみてよ。テーブルに置いてるからさ。」
「ん、ありがとう。じゃあ、いただくよ。」
目が完全に覚める前にした匂いはそれだったんだな。
エルフィは料理が上手い。俺もそこそこの腕だと思ってはいるけど、やっぱりエルフィの方が上手い。
中等部の家庭科の調理実習を思い出すな…
朝食が用意されたテーブルの席に座ると、作業が終わったのかエルフィも入ってきた。
いただきます、と言ってそれを食べた。
ほとんど朝食は食べない派だけれど、それだけはするすると喉を通り抜けていく。
久しぶりにおいしい朝食を食べた気がした。
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